現代最高峰のR&Bシンガー、SZAの「リアルな表現」が支持される理由

双方に刺激をもたらすコラボ・ワークス

SZAは他のアーティストとのコラボレーションにも積極的に取り組んでおり、アルバム・デビュー前の時点で、アブ・ソウルやジェイ・ロックといったTDE所属アーティストの楽曲に参加している。この人脈を通して、トラヴィス・スコットの代表作「Rodeo」(2015年)にも収録曲の「Ok Alright」にて、ケイシー・ヒルやレーベルメイトのスクールボーイ・Qと共に彼女も参加しており、ラップ・ゲームを闘い抜く彼の壮絶な姿を優しく見つめるように歌い上げ、楽曲が持つ世界観をより壮大なものへと引き上げている。その後、恩返しと言わんばかりにトラヴィスは「CTRL」収録の「Love Galore」に参加し、単にヴァースを提供するだけではなく、楽曲全体のサウンドメイクに関しても深く関わった。以前より彼の大ファンだったSZA自身もTwitter上で「自由な音楽(”Freedom of Sound”)」に寄与してくれたことへの感謝を述べている



このように、彼女は様々なアーティストとのコラボレーションにおいて、単なるゲストとしての役割以上に、より深いインスピレーションを求め、そして求められる存在でもある。チャイルディッシュ・ガンビーノは2018年の「This is America」において楽曲とミュージックビデオの両方にSZAを起用しているが、その背景について彼は「彼女はいつも、とてもパワフルでありながら傷付きやすいと感じている。その感覚を作品に取り入れたかったんだ」と語っていた



また、「CTRL」以来初となる新曲となった「Hit Different」(2020年)に参加したタイ・ダラー・サインは、当時のレコーディングについて「SZAが自分の周りにクリスタルを置いて、パフォーマンスの質を高めようとしたんだ。するとすぐにフックが降りてきた」というエピソードを語っている。一方で同楽曲でタッグを組んだ、幼少期より大ファンであることを公言しているネプチューンズとの制作作業については「クレイジー」と語りながら、彼らの仕事の完璧ぶりに感動しており、他のアーティストに刺激を与えるだけではなく、自身もまた新たなインスピレーションを受けているようであった。


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