現代のアメリカン・ドリームを体現する24kGoldn 渡辺志保がその魅力を解説

ポップさとハードさを行き来する多様性

2021年3月、24kGoldnは世界中の期待を受けてデビュー・アルバム『EL DORADO | エル・ドラド』を発表したばかり。自身の名前、そしてこれからも続くことを確信しているであろう輝かしいキャリアにかけて、伝説の“黄金郷”の名前を冠したアルバム・タイトルは、彼のデビューを飾るにふさわしいものであろう。『EL DORADO | エル・ドラド』を聴くと、彼が目指す方向がハッキリと見えてくる。収録されている多くの楽曲は、メロディアスでエモーショナルなヴォーカル、そしてギターのサウンドが印象的なものが多い。

あえてジャンル名を付けるとすると、やはり“ポップ・ラップ”と呼ぶのがもっともふさわしい。軽妙なリズムが特徴的な「Love Or Lust」や「Breath Away」、アルバム収録曲中、もっともエモーショナルに歌い上げる「Don’t Sleep」などを聴くと、インディ・ロックにも大きくインスパイアされたという彼の音楽性を強く感じることができる。同時に、フューチャー、ダベイビー、スワエ・リーといったヒップホップ界を代表するトップ・アーティストらも参加。キャッチーさとインパクトを兼ね備えたヒット曲ならお手の物であるダベイビーや、すでにポスト・マローンやグッチ・メインらと特大ヒット曲を世に送り出しているスワエ・リーらとの相性が悪いわけはない。ストリートのトラップ・シーンを描写し続けてきた先輩ラッパーのフューチャーを迎えた「Company」は収録曲中、ゴールデンの最もハードなラップを聴くことができる一曲だ。









以前、24kGoldnは米ローリングストーン誌へのインタビューで、自身のことをこう形容した。自分は「今の音楽業界のスティーブ・ジョブス」だと。「俺はこのゲームに革命を起こしてる。俺を型にはめることはできない。そのことを俺は何度も証明してきた。俺はこれまでの人生で、世界が俺に追いつくのであって、その逆じゃないってことを学んだんだ」。確かに彼の楽曲を聴くと、これまでのラップ・ヒットとはどれも似ていないことに気が付く。若さゆえのオリジナリティはとりわけ明るく光り輝く。時代が生んだスターは、黄金郷を求めてまだまだその航路を進めていく。

文:渡辺志保(音楽ライター)

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『EL DORADO | エル・ドラド』
24kGoldn | 24kゴールデン(読み:トゥエンティ・フォー・ケー・ゴールデン)
配信中
配信URL:https://lnk.to/24KGoldn_ELDORADORS

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