チープ・トリックを形成する音楽的ルーツーチープ・トリックの“スタイル”を形成する上で影響を受けたと思うレコードをいくつか挙げてもらえますか? たとえばビートルズやヤードバーズ、ラモーンズ、あるいはあなたが大好きなファミリー、センセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンドとか……。リック:それそれ! というか、今名前が挙がった全部を少しずつだ。センセーショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンドだったら(と言ってギターを弾きながら)「Faith Healer」だな。アレックス・ハーヴェイは (AC/DCの)ボン・スコットの先駆者に当たるんだ。二人とも、海賊みたいなところがあっただろ? 少なくとも俺にはそう見える。(ダミ声で喋る真似をして)クールなエネルギーでいっぱいなところが大好きだった。しかも見せ掛けでやってるんじゃないところがいい。本物なんだよ。なんてこった!だぜ。
リック:ザ・フーもそうだ。彼らは俺が観た中じゃ一番、最高のライブ・バンドだ。1968年に彼らの前座をやったよ。いい曲が多くありすぎて、1つだけ選ぶのは難しいな……。ジョン・エントウィッスルはベースの本(ジョンのベース・コレクションを紹介した書籍『Bass Culture』)で仕事をさせてもらったが……彼が書いた「My Wife」は好きだよ。彼のベースも最高だが、あの曲のストーリーがいい。彼らのごく初期のヴィデオを見ると、今のイメージとは違ってチャラチャラしたガキなんだよ。いい意味でね。でもあの頃からハーモニーはしっかりしてたし、でっかいドラムでバッシャーン!!!って感じで、そんなところが大好きだった。楽しくてエキサイティングだった。
ヤードバーズは……俺たちの新しいアルバムに入ってる「Light Up The Fire」のソロでは、ジミー・ペイジとジェフ・ベックが二人で弾いた「Happening Ten Years Time Ago」が思い浮かんだ。でも似せようと思って書いたわけじゃなくて、曲がそんな風に聞こえたのでやってみたっていう感じさ。
ー近年のチープ・トリックは「Gimme Some Truth」以外にもカバー曲をいくつも録音していて、ビートルズ「She Said, She Said」、ニルソン「Ambush」、そしてデヴィッド・ボウイ「Rebel Rebel」を取り上げましたよね。それぞれどんな風にアレンジしようと考えましたか?リック:「Rebel Rebel」はオリジナルに忠実にしようとしたよ。あのギター・リフは誰もが知っているから、ほとんど変えずにそのままやった。“Hot tramp I love you so”から続く部分だけ勝手にこちらで作ったけど。
「She Said, She Said」はビートルズの曲だけど、ザ・フーがビートルズをやってるようにやった点がクールなんだ。デカいコードで(歌う)、ちょっと変則的なタイミングになっている。ライブでは結構やっていた曲だ。
ハリー・ニルソンの「Ambush」はライブではやったことがない。スタジオでのみだ。あれは(トリビュート・アルバム『This Is The Town』のために)何かニルソンの曲をやってくれと言われて、誰もが知っている曲じゃない方がいいなと思って選んだんだ。ジョン・レノンがあの曲を口ずさんでいる姿を想像できないかい?