D.A.N.の2人が語る、自分たちの進むべき道

タバコにこだわりを見せる2人はファッションにも一家言を持っている。共に古着を好むが、そのスタイルは全く違う。

「近場にある馴染みの古着屋にずっと行っていますね。僕はその時の気分で買うことがほとんどで、特に何かテーマを決めているわけでもないのだけど、普通にセーターとスラックスを合わせるなど、結局のところベーシックなものを選ぶことが多いのかなと思います。ジム・ジャームッシュ監督の世界観が大好きで、ずっとジョン・ルーリーになりたいと思っていたからその影響もあるかなと(笑)。あ、最近だとガス・ヴァン・サント監督の『マイ・プライベート・アイダホ』(1991年)を観て、リヴァー・フェニックスの着こなしがカッコいいなと思いました」(市川)

「僕は最近、UKのラッパーに感化されているかも。スポーティな感じとか。スロウタイや、女性でいうとシャイガールとかが着ている服の感じが好きですね。よく中古のサッカーユニフォームやスニーカーなどを、ヤフオクで買ったりしています」(櫻木)

着ている服のテイストは全く違うのに、2人が並ぶと全く違和感がない。それどころか、絶妙な調和を醸し出すのはさすが長い付き合いだけある。そんなD.A.N.は今年で結成6年、デビュー5年を迎えたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、とてもアニバーサリーをファンと喜ぶ状況ではなくなってしまった。思うように音楽活動ができないことでの精神的ダメージは、市川より櫻木の方が大きかったようだ。

「強制的にライブが出来ない状況になったのは、音楽活動をスタートしてから初めての体験で。自分自身の存在意義みたいなことまで考えました。いくら音楽を作っても“これって意味があるのかな?”なんて、だんだん考えるようになってしまったんですよね。これまでライブをやることで自分を保っていたというか、ある種の自己肯定感を担保していたことを思い知りました」(櫻木)

「音源を作るだけで満たされる時もあるし、そういう人もいると思うんですけど、やっぱり外に発信するからこそ、それを聴く人がいてこそ意味があるというか。自粛期間中は、作品のリリースを延期せざるを得なくなったアーティストもたくさんいたじゃないですか。作品は出せない、ライブは当然できないとなると、ひたすら曲を作るしかない。でもどこにも発表ができないというスパイラルに陥ってしまった人たちは、きっと大変だったと思います」(市川)

そうした膠着状態を打破するため、櫻木は思い切って引越しをしたという。

「日当たりと風通しの良いところに引っ越して、気分も大きく変わりましたね。今までずっとベッドルームレコーディングのようなことをしていたけど、リビングと作業部屋を分けて、音量もしっかり出せるよう防音設備も整えました。おかげで機材を思う存分触ったり、音楽的な実験をいろいろ試してみたりできるようになって、ものすごくポジティブになれたと思います」

Text = Takanori Kuroda  Photo = Mitsuru Nishimura

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