全米1位のラッパーが「音楽業界のスティーブ・ジョブス」を名乗る理由

24kGoldn:2020年12月、ロサンゼルスにて撮影(Photo by Samuel Trotter for Rolling Stone)

全米ビルボードチャート1位を累計8週獲得。Spotifyのグローバルチャートをはじめ各国のチャートを席巻。 「ムード」のヒットで知られるラッパー、24kGoldn(トゥエンティー・フォー・ケー・ゴールデン)はこう話す。「俺を型にはめることはできない。そのことを俺は何度も証明してきた」と。

Zoomでの遠隔インタビューの開始早々、筆者に促されるのを待つことなく、24kGoldnは自身のことを「今の音楽業界のスティーブ・ジョブス」だと形容した。昨年最大のヒット曲のひとつを生んだ若干20歳のアーティストによるその大胆な主張には、ほんの微かな皮肉さえ感じられない。しかし、飛ぶ鳥を落とす勢いで躍進するボーダレスなラッパーの自信家ぶりには根拠がある。

24kGoldnことゴールデン・ランディス・ヴォン・ジョーンズは、TikTokを起点にキャリアを築いたアーティストとしては、リル・ナズ・X以降最も大きな成功を収めた存在であり、同プラットフォームから複数のバイラルヒットを出した数少ない存在のひとりだ。彼は2019年に現在のレーベル(RECORDS)と契約していることを主張しつつも、事実上TikTokがキャリアのスタート地点となったことを認めている。チャートを制し2020年最大のヒットのひとつとなった「ムード」(盟友イアン・ディオールがゲスト参加)を含め、彼はこれまでに3つのRIAA認定シングルをリリースしている。同曲はローリングストーン誌の100 Songs Chartでも28週にわたってチャートインし、週を隔てて2度その頂点に立った。

「俺はこのゲームに革命を起こしてる」。Goldnは何のためらいもなくそう話す。彼はインタビューを通して、その野望をあたかも既成事実であるかのように話していた。彼は今後もナンバーワンシングルを出すこと、そしていずれ自身のレーベルを運営することを確信している。唯一彼が自信のなさそうな口ぶりになったのは、今日が何曜日かを思い出そうとしている時だった。ミュージシャンとしてのキャリアの追求に没頭するあまり、彼は曜日感覚をすっかり失ってしまったのだという(筆者は彼に当日が金曜日であることを伝えた)。

バイラルヒットを記録した後、「ムード」はメインストリーム向けにアレンジが施された。同曲はラジオチャートを制し、11月にはジャスティン・ビーバーとJ・バルヴィンという2人のスーパースターをゲストに迎えたリミックスが公開された。Goldn曰く、よりハッピーなトーンが成功の秘訣だったという。パンデミック、人種差別への抗議、国の分断を露呈させた大統領選に象徴された2020年において、リスナーと繋がろうとする多くのアーティストが生み出した作品からは、現在の状況を受け入れる、あるいは目を反らそうとする姿勢が感じ取れた。ビーチを連想させる陽気さ、ギターリフをちりばめたビート、そして軽快なメロディを特徴とする「ムード」におけるGoldnのアプローチは、紛れもなく後者だった。



「あの曲を作った時、俺たちはとことんいい気分だった。それが曲に現れたんだよ」。彼はそう話す。「リスナーがあの曲を自宅で独りで聴いていたとしても、俺たちが感じてたハッピーなヴァイブスを共有できるんじゃないかな。今の状況の対極にあるようなあの曲のムードが、多くの人を元気づけたんだよ」

Translated by Masaaki Yoshida

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