ネット発ミュージシャン三組、渋谷で「正夢」を描いた一夜

定刻を少し過ぎた頃、ぼっちぼろまるがビジネスフレンドと称するヲタきちと一緒にステージに登場。挨拶を済ませると、中華風のリフが印象的なアップテンポの曲「タンタカタンタンタンタンメン」でライブはスタート。ゆるキャラのような出で立ちで踊りを披露しながら、会場の手も大きく振らせて盛り上げる。続く、等身大でシュールな歌詞の「ぼくも傘がない」ではテンションの高いギターリフとぼろまるのどこか気の抜けたビジュアルと愉快なダンスのギャップが魅力的に映えた。


ヲタ吉(左)とぼっちぼろまる(右)Photo by スズキメグミ

MCでは、ヲタきちが「よく見えないけどたくさん人いるんだよね?」と随所にジョークを織り交ぜながらも、「ずっと配信ライブだったから、お客さんがいる前でライブやるの久しぶりで楽しい」と、久しぶりの有観客への感慨を語るぼろまる。ここで急遽、4月2日にリリースの最新アルバム『GARAKUTA』から新曲「1 day」を披露。ミディアムテンポのアーバンなサウンドに、心地よく身体でリズムをとってラップ調に歌い上げる。「本当の僕を見てほしいの なんて言わない、思わない、願わない」と、仮想空間でアバターとして活動して実態が見えないVTuberが歌うのがシニカルで面白く感じられる。さらに続けて、俯瞰的な視点で等身大の勇者を捉えたミディアムナンバー「勇者のくせに」を披露。一般のヒーロー像と異なる勇者の実像を”勇者のくせに”と歌い上げる姿にはどこか悲哀が漂い、変わらない表情が逆に印象強く残る。最後のMCでは、それまでの落ち着いたトーンとは対照的にぼろまるとヲタきちのジョークを織り交ぜた掛け合いを見せ、観客も思わず肩の力が抜けて笑えてしまう。こういったライブの中に大きなテンションの振り幅があるのも彼らのパフォーマンスの魅力なのかもしれない。最後はアッパーチューンの「いきてるだけでしぬほどえらい」でハッピーな大団円を迎え、2人は会場を後にした。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE