大滝詠一の楽曲に隠された変態的リズムとは? 鳥居真道が徹底考察

「ロンバケの裏ジャケ」


「カナリア諸島にて」は「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」に比べるとシンプルに聴こえるかもしれません。スネアが鳴るのは2・4拍目、すなわちバックビートなので、トリッキーなパターンというわけでもありません。しかし、バスドラムやベースによってトレシージョ的なパターンが強調されているので、拍子を取りにくいといえば取りにくい。トレシージョは、8つの8分音符を「3-3-2」といった具合にグルーピングしたリズムのパターンです。「カナリア諸島にて」は4拍子とトレシージョの二層構造になっていると言えます。



「カナリア諸島にて」のドラム・パターンにおいて、3拍目に鳴らされるハットのオープン・クローズは、ファレル・ウィリアムスの「Happy」や、a-haの「Take On Me」でも聴くことができます。コード理論でいうところの終始保留のように宙釣りにされたような感覚をもたらすパターンです。

「Velvet Motel」は『ロンバケ』の中ではもっとも変態度の高い楽曲だと言えるでしょう。Aメロ部分は、「絶対バックビートは叩かないからね!」という気迫が感じられるドラム・パターンです。ベースは「Pap-Pi-Doo-Bi-Doo-Ba物語」と同様、不在のワン。ドラムに合いの手を入れるかのようなパターンになっています。アコギとハープシコードは楽曲の顔となり得るキャッチーなパターンで演奏されていますが、ドラムとベースは茶々を入れるかのようです。「あちらを叩けばこちらから」とでも言わんばかりのもぐら叩きのようなアレンジになっています。「君は天然色」のリズムは3連係4つ打ちでシンプルといえばシンプルですが、キメや2拍3連といったアレンジ上のギミックが楽しい曲です。


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