アジカン後藤×NOT WONK加藤 世代を超えたシンパシーと音楽への向き合い方

後藤正文と加藤修平(Photo by 佐藤祐紀)


DIY、東京と地方、自分たちの居場所づくり

一音楽がお金にならないことは大きな問題ですけど。ただ、全員がそういう状況にある中で何が輝いて見えるのかって、自分たちの居場所がある人たちなんですよね。それはGotchのソロにも感じることで。居心地のいい場所を自分で作っているんだな、それがこの時代の美しさだろうなと思う。

後藤:そうですよね。ほんとに場作りを自分でしていかないと。そこはいろいろ整理できてる気がする。もう東京じゃなくていいし。自分が好きなことをして楽しむ、表現として一番ヘルシーなことを続けていきたいと思う。



加藤:ただ、音楽作るのってめちゃくちゃお金かかるじゃないですか。なんだかんだ、スタジオとか莫大なお金がかかるわけで。そこを使える者だけがいいものを作れる時代になっちゃったら、すごく嫌だなと思って。

後藤:わかる。そりゃボブ・ディランの音はめちゃくちゃいいけど、いい機材使ってるから当然だっていうか(笑)。星野源くんの音も、そりゃ全部いいよって思う。だって星野くんも含めて全員が一流だし、場所も一流、スタッフも一流だからさ。もともといいものがさらに良くなる正のスパイラルがあると思う。でも俺たちにBunkamura(スタジオ)は借りられないでしょ。

加藤:そうですよね(笑)。

後藤:アイディアだけではひっくり返せないけど、そこで悪足掻きしたいから、自分としては友達にバンバン機材も貸していきたいの。還元して、シェアしていくしかないって思う。同じバンドじゃないけど、みんなでいいもの作りたいじゃん。NOT WONKの新譜が良かったら俺も嬉しいし。今は、みんなで力を貸し合うことが正しい在り方なのかなって思う。人との繋がりで豊かにしていけばいいんじゃないかなって。

加藤:そうですよね。それも東京とかどこか特定の場所じゃなくて。好きな人と会いたい人がいれば、そこにもう会いに行きゃあいいじゃん、みたいな感じになってきてますよね。


Photo by 佐藤祐紀

一地方=不便みたいな構図がもはやないんでしょうね。NOT WONKの新作もGotchの新作も、本当に豊かな幸せが詰まったような音で。

後藤:環境にストレスがないっていうのはある。もちろんまったくないわけじゃなくて、作る時に「アレンジ上手くいかねぇな」とかはあるんだけど。でもそれって大きく言うと幸せに含まれてるから。

加藤:うん。だからさっきの話と繋がっちゃいますけど、東京だと歌おうと思ったって歌えない。たとえば集合住宅に住んでて、ギター弾こうと思っても「スタジオ押さえないと無理、しかも土日は高いから平日の夜にしよう」とか、そういう悩みが常にあると思うんですね。ちっちゃい音を鳴らすにもストレスが伴うというか。地方に住んでるとそういうものが一切ないんですよね。音楽にかけられる時間、トライできる回数を好きなだけ増やせる。そういうのが実は音に繋がってるんじゃないのかなって気はします。

後藤:コロナはだから、意外と大きかった。都会に出て人前に出ていく時間がないと、こんなに静かなんだなっていう。そうなるともう自分にとっては作るしかないから。ほんとに音楽だけやれるのは幸せなことだなって思った。しかもアイディアを誰かと分かち合う時に、思いもよらない自分が出てきて自分でも驚いたりするしね。ほら、40過ぎていくと、意固地に固まっていく怖さもあるの。だから音楽を介して人と交わっていくことが、今の自分にとっては喜びになってるのかな。

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