ネット発クリエイターとリアルの最前線に立つ「正夢」の狙い

『正夢 vol.1』アートワークより

数々のアーティストがブレイクを果たし、いまや日本の音楽シーンのメインストリームを担う存在となりつつあるネット発クリエイターたち。00年代から10年代にかけてコミケなどの同人イベントやニコニコ動画などの動画投稿サイトに芽吹いた日本独自のポップカルチャーが、20年代に入り大きく花開きつつある。

「正夢」は、その新たな土壌を耕すべくスタートしたプロジェクトだ。まずは第一弾として、ボカロP、歌い手、VTuberなど8組が参加したコンピレーションアルバム『正夢 vol.1』を2月27日にTSUTAYA限定でレンタル開始。本日3月22日には参加アーティストが出演するリリース記念イベント『正夢ライブ vol.1』も開催される。

また、2月11日から3月31日にかけては、クリエイターたちの作品を全国のTSUTAYA店舗に展開する「みんなのクリエイター大作戦」が実施されている。コロナ禍で同人即売イベントの開催が難しくなっている現在、失われてしまった「ネットとリアルの接点」としてTSUTAYAの店頭を提供するという試みだ。

これらの企画を進めているのが、CCCグループの株式会社otto。同社には和田たけあき、煮ル果実といった気鋭のボカロP、イラストレーターのりゅうせーといったクリエイターも所属している。

同社の阿部翔太氏、杉浦菜月氏に「正夢」の狙いとこの先のシーンの展望について語ってもらった。

—まず、どんな狙いでこのプロジェクトを始めたんでしょうか?

阿部:otto自体が2019年12月11日に発足した会社で、僕らがジョインしたのが12月16日でした。TSUTAYAグループ全体でこの分野を強くやっていこうという流れの中で始まって、でも、去年1年はコロナで何もできず、ボカロPさんのCD流通やグッズを作るお手伝いをさせてもらっていました。当初からCCCミュージックラボのチームと「何かやりたい」という話はしていたんですが、ようやく1年を経てこの「正夢」というプロジェクトが立ち上がった。レンタルCDもそうですし、ネットで活躍しているクリエイターをもっと知ってもらいたい、TSUTAYAを通してもっと伝えたいという思いがあって動いています。

―以前と比べるとネット発のクリエイターもより広い場所で活躍するようになっていると思うんですが、そのあたりはどうでしょうか。

杉浦:私はもともと動画のプラットフォームの会社にいたというのもあって、このシーンに10年くらい前から関わらせてもらっています。その頃からボカロPさんや歌い手さんたちと一緒にお仕事しているんですけれど、今はだいぶこの文化が受け入れられる状況になっていると思います。やっぱり米津玄師さんの影響はすごく大きいですね。それこそ今活躍している方たちは、米津さんを見て「ボカロPをやりたい」と思った人も多いです。

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