和田たけあきが語る、メインストリームに近づくボカロシーン

ー今回の『正夢Vol.1』に収録される「わるいこになあれ」はご自身で歌われています。ボカロではなく、ご自身で歌うようになったきっかけは何かあるんですか?

一番はライブがしたいというところですね。ボカロの音を流してライブをするなら、「マジカルミライ」みたいにちゃんと映像もありきでやらないと、正直おもしろくないんです。人に歌ってもらったこともあったんですけど、自分の名前でライブをしているのに違う人が歌っていることに違和感があったんですよね。純粋に音楽のことだけを考えれば、歌の上手い人が歌った方が絶対いいんですけど。ボカロPをやっていると、好きになってもらえるのは、ボカロPじゃなくて曲なんですよ。今は違うかもしれないですけど、少なくとも僕が歌い始めた当時はそうでした。一応肩書きがアーティストであるというところで、自分で歌っていなくてもアーティストだと自分の中では考えているんです。ただ、周りは全然そう思っていない感覚があって。僕は2016年に「チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!」って曲を出して一気に認知されたんです。その時に音楽って自分だけでやるものではなくて、聴く人、受け手側あってのものだなと、すごく感じて。なので、自分の中での正義を貫き通すというよりは、音楽で世界に認識されるようになるためには、無理やりにでも自分で歌うしかないという思って歌い始めました。だから、実はポジティブな理由ではないんです。歌う選択肢しか残されてなかった状態ですね。



ー和田さんがボカロP・シンガーソングライターとして活動されて10年ほど経ちますが、10年の間でネットクリエイターシーンの変化は感じられましたか?

むしろ、変化しかしてないですね。具体的にとなると、歴史を語る感じになっちゃうからそれだけでこのインタビューが終わっちゃいますね(笑)。

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