アダルト業界も注目、デジタル資産「NFT」とは?

「アダルトクリエイターはずっと検閲の問題をかかえてきた」

仮想通貨コミュニティ以外では、NFTや将来的な価値に対して懐疑的な見方が多分にある。だが、テクノロジーを早い段階から取り入れてきたことで定評のあるアダルト産業内では、ビデオデッキやケーブルTVの普及を後押ししたように、Cryptonatrixのようなアダルトコンテンツ・クリエイターがNFTブームを取り込み始め、ニッチだが熱烈な顧客層に作品を売り込みにかかっている。

「買い手はみんなヌきたいだけだから、わざわざブロックチェーンにあるものを入手する気なんかない」とローリングストーン誌に語るCryptonatrixは、9月からNFTを作り始めた。「でも中にはこういうデジタルトークンを手に入れて、自分のお気に入りのクリエイターが作った特別な画像の所有者になりたいという人もいるのよ」

このところセックスワーカーの多くは仮想通貨に進出している。「アダルトクリエイターはずっと検閲の問題をかかえてきたからよ」と、オンラインセックスワーカーのアエラさんは説明する。彼女は前に別のプラットフォームにアップロードしたヌード写真のうち5点ほどを、NFTとして1つ600ドルで販売した。PayPalなどの主流な決済サービスはアダルト系ビジネスの取引を処理することを拒んできたため、その結果多くのセックスワーカーたちの資産が凍結されている。

またセックスワーカーたちは、Instagramのような大手プラットフォームで存在を維持するのも苦労してきた。そこではしばしばアカウント制限をかけられたり、厳しいコンテンツガイドラインの標的とされた。一部のセックスワーカーは、NFT制作が収入源を多様化させる道だとみなす一方で、コンテンツがブロックチェーンから除外されないように気を配っている。「完璧な解決法じゃないわ。プラットフォームのヌードに対するポリシーが不透明だから。でも、真の自由がある可能性は高いわね」とアエラさんは言う。

アリー・イブ・ノックスさんは、マドリードの有名なメトロポリスビルにそびえる女巨人として描かれた画像「Allie in the Cityパート2」を現在オークションにかけている。前作の「Allie in the Cityパート1」は、仮想通貨マーケットプレイスRaribleで510ドル相当で販売された。この画像は彼女のアシスタントの1人、通称Dog_editorという男性が15ドル程度で制作したものだ。ローリングストーン誌とのインタビューでノックスさんは、NFT制作が長期的にも報酬を生み出してくれると考えている。誰かが彼女のNFTを転売すれば、残余費用の30%が彼女の懐に入るのだ。「いくらかお金のある男の子たちは、コミュニティ内で画像を転売しているの。私もおこぼれにあずかりたくて、参入したのよ」とノックスさんは説明した。「アートの世界を変えたいとか、みんなに尊敬されたいわけじゃない。ただ、別の収入源がほしいだけ」

【写真を見る】セクシーポーズの女巨人

Translated by Akiko Kato

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