未だ謎多きUKバンド、ジャンゴ・ジャンゴが「音楽のモンスター」になるまでの物語

ジャンゴ・ジャンゴ(Photo by Horacio Bolz)

2009年の結成以来、孤高の存在感を放ってきたジャンゴ・ジャンゴが通算4作目のニューアルバム『Glowing in the Dark』をリリースした。シャルロット・ゲンズブールのゲスト参加も話題の本作では、サイケからダンス、カルトまで古今東西の音楽を繋ぐエクレクティシズムと、英国特有の突き抜けたユーモアセンスにますます磨きがかかっている。ここ10年のUKロックシーン屈指の実力派にして、突出した変わり種でもある彼ら。未だ謎多き4人組の魅力を掘り下げるべく、ドラマー兼プロデューサーのデイヴ・マクリーンにZoom取材を行った。


DJカルチャーと折衷主義

—『Glowing In The Dark』のリリース記念でDJセットを披露していましたよね。DJ歴はもう長いんですか?

デイヴ:DJをはじめたのは1992年くらいだね。兄貴(2015年公開『スロウ・ウエスト』で知られる映画監督のジョン・マクリーン)が自分の部屋にデッキを持ってたんだ。ちゃんとしたセットというより、古いターンテーブルが2つあっただけだけど。それで、その翌年くらいから自分でヒップホップのDJをはじめたんだ。



—ドラムをはじめたのは?

デイヴ:ドラムセットを買ったのはもう少し後、1994年だね。4トラックのサンプラーを持っていたから、自分でドラムループを作ったり、ミックスしたりしてみたくて。それから学校でバンドを初めて組んで、ストーン・ローゼズのカバーをやったりしたよ。ジャンゴ・ジャンゴの結成はそこから10年くらい後の話だけど、それが音楽をはじめたきっかけかな。

—人に歴史ありですね。DJセットは選曲にも痺れました。ご自身のルーツとして、クラブミュージックやヒップホップのカルチャーはやはり大きい?

デイヴ:もちろんだよ! 最初にDJをはじめた頃ハマってたのは、デ・ラ・ソウルやパブリック・エネミー、RUN DMCとか。あとは90年代初期だったから、ブラック・シープも好きだったな。そこからだんだんと王道のハウスを通って、テクノを聴くようになっていって、その頃はブラック・ドッグがすごく好きだった。あとローラン・ガルニエだとか。

—最高じゃないですか!

デイヴ:その辺りの影響は自分にとってすごく大きくて、ジャンゴ・ジャンゴをはじめる前は自分でもダンスホールとかテクノをメインに作っていたんだ。結果的に、それを含むいろんな要素がジャンゴ・ジャンゴの音楽には反映されている。

でも、自分ひとりでたった4トラックだけでサンプリングしてビートを作ることにだんだん飽きてきてしまって。もっと違ったタイプの曲をイチから作ってみたくなったんだ。自分にとっては大きな転換だったけど、子どもの頃のヒーローはビートルズだったわけで、それまでとは違うタイプの曲を紡いでいく楽しさに目覚めていった。ただ、そんな中でも、ヒップホップやダンスミュージック、テクノを聴いてきたことで培った感性を失いたくないという気持ちは常にある。だから、それらすべてがミックスされて、今のジャンゴ・ジャンゴの音楽を形作っているように思うよ。

—よくわかる気がします。DJとしてのあなたのヒーローは?

デイヴ:テクノにハマったきっかけとして大きかったのは、デトロイト出身のジェフ・ミルズやカール・クレイグ。実際にプレイを見てシビれたのはジャイルス・ピーターソンやコールドカットだね。自分がスコットランドで友達とはじめて企画したDJイベントでは、ジャズとかヒップホップを取り入れた折衷的なセットを目指したんだけど、その辺りはジャイルスの影響が全開だったよ(笑)。

Translated by bacteria_kun

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