moumoon・YUKAと手島将彦が考える、アーティストが「悩みを相談できる場所」

ーエミネムのクリエイティブのルーティンとして、朝9時からスタジオに入って夕方5時には切り上げて無理はしないというニュースも以前ありましたよね。皆が無理なく自分のペースで活動できればいいなと思います。

手島:なんであれ、その人らしくやれればいいと思うんです。夜中まで仕事をして、翌日の朝に寝るリズムが合っている人なら、そういうやり方でもいいのかもしれないですし。小さい時から子どもらしくとか、なんとからしくみたいなことを言われて育ってくるじゃないですか。ミュージシャンらしく、アーティストらしく、そんな雑な何かのカテゴリで個人は理解できないですよね。あくまでその人らしくあれればいいというのが、原則だと思います。

YUKA:そうですよね。例えば事務所やレーベルに求められるペースにのっかるんじゃなくて、自分で時間だったりをコントロールできているということ。エミネムさんの話だと、朝9時から夕方5時で今日はやりきったと思える自分らしいルーティンを作っていくこと。そこで自己効力感が上がっていったり、良い循環から良い作品が生まれていくことが大事なんじゃないかなと思います。

ーYUKAさんご自身、もしくは周りのミュージシャンの方とかを見ていて、自分の得意なペースで活動できる音楽業界の環境になりつつある実感はありますか?

YUKA:今私の周りには、むしろそういう人しかいないかも。皆とても自由だけどやる時はやるし、しっかりするとこはしっかりするというか。ものすごいエネルギーを注ぎ込んでやるんだけれども、それ以外の時はのんびりしているんですよね。そういう緩急の付け方がすごく上手だなって、周りを見ていて思いますね。

ー以前、starRoさんと手島さんの対談の中で、これからミュージシャンとレーベルや事務所の関係が変わっていくんじゃないかっていう話題も出ていて。今までみたいにレコード会社にミュージシャンが所属するというのではなくて、ミュージシャンとエージェント契約のような形で対等な関係性が築ける、そういう環境が必要になってくるんじゃないかと。YUKAさんは今後、業界の働きやすさや環境がどう変化していくと思われますか?

YUKA:対等であることはマストだと思います。エージェント形式で契約するにしても、自分一人ではできないことをお願いするからこそ、そこに意味があるのであって。自分にはできないマネジメントをお願いするというのが事務所にいる意味だと思うんです。お互い対等で、自分の主張をしっかりできるパワーバランスは大事ですよね。ミュージシャン側がどこかで申し訳ない気持ちでいたりすると、どんどん主張ができなくなっていったり、逆にミュージシャンの発言権が大きいと会社が我慢することになってしまう。バランスの良いところを探っていかないといけない、というのはずっと感じています。

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