岡林信康とともに紐解く、コロナ禍で生まれた23年ぶりのアルバム

(以下、インタビュー)

田家:やっぱり岡林さんだなと思うのが、この「アドルフ」と「BAD JOKE」でありまして。「アドルフ」いいですね。こういうことを歌える人はあまりいないし。

岡林:危ないなと思うんやけど、今、強い指導者が出てきて一挙にコロナ問題を解決してくれないかなという風潮が無きにしも非ずで。こういうのって怖いと思うんだよね。中国なんかのやり方を見ていると、俺はあの国は一党独裁の軍事政権だと思うから、ああいう強権的なことを本当に望んでいるのかなという気がしてね。それをどこかで待ち望むような風潮って怖いなという想いから、こういう歌が一つ書けてしまったんやね。

田家:書けてしまったと。これはすぐできましたか?

岡林:これわりと早くてスルスルと。最初は強い指導者を求めてる若者がいるらしいという歌詞だったんだよ。でも、ある人に若者だけの問題じゃないでしょうと言われて、歌詞を変えたんだけど。

田家:「BAD JOKE」は「復活の朝」と対になっている歌でもありますね。

岡林:「BAD JOKE」はあまりにもストレートに自分の言いたいことをぶちまけてるから、とにかくサウンドで飛ばしてほしいと思って。バンド編成風で思いっきりロックにしてくれと言ったら、結構サウンド面白いよな。この歌は弾き語りでは聴いてられへん(笑)。昔、ロックは重たい言葉を運ぶという言い方があって、この曲はまさに重たい歌詞をサウンドが飛ばしてくれる。これが俺のロックだなと思ったよ。

(以下、スタジオ)

田家:「アドルフ」と「BAD JOKE」についてのインタビューをお聞きいただきました。「お坊ちゃまブルース」は誰のことを歌っているんだろう? と考えながら聴いてみてください。そして、「アドルフ」は今の世界に対しての懸念ですね。岡林さんの実家は教会で、彼も同志社大学の神学科に進んでます。ただ、宗教的なことへの疑問もあって大学は中退しました。個人崇拝に対しての疑問ですね。そして彼は山谷に住みついてフォークソングに出会うんです、この話はまた来週に。その後の「BAD JOKE」は、今の地球の温暖化についての率直な警鐘です。この二曲を続けて聴いていただきます。インタビューは、「BAD JOKE」についての続きです。

アドルフ / 岡林信康
BAD JOKE / 岡林信康

Rolling Stone Japan 編集部

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