ミュージカル映画の監督に挑んだシーア、作品を象徴する音楽の中身とは?

シーア(Courtesy of Warner Music Japan)

「Chandelier」などのヒット曲で知られるオーストラリア出身のシンガーソングライター、シーアが音楽活動と並行して映画監督に挑戦している。ミュージカル映画『MUSIC』で彼女が手がけたのは、監督や音楽のみならず、脚本からプロデュース、衣装デザインに至るまで。

彼女のMVなどでお馴染みのマディー・ジーグラーが主演を務め、ケイト・ハドソン、レスリー・オドム・Jrらベテラン勢が脇を固める。海外での公開とほぼ同時にリリースされたアルバム『ミュージック』は、その劇中歌と映画にインスパイアされた楽曲で構成され、シーアが全曲でヴォーカルを担当(出演キャストによるサウンドトラックも後日リリースの予定)。映画のサウンドトラックであると同時に、彼女のオリジナルアルバムとも言える内容だ。

ここ数作のアルバムに関しては、プロジェクト色の強かったシーア。「Chandelier」をはじめ「Big Girls Cry」「Elastic Heart」などのヒットを放った2014年のアルバム『1000フォーム・オブ・フィアー』こそ、いわゆる通常のオリジナル・アルバムと呼べる内容だったが、それ以降は2016年作『ディス・イズ・アクティング』がシーアが他アーティストのために書き下ろした未発表曲を歌った作品集(「Alive」「Cheap Thrills feat. Sean Paul」「The Greatest feat. Kendrick Lamar」「Move Your Body」などのヒットが続出した)、2017年作『エブリデイ・イズ・クリスマス』は、その名の通りクリスマスアルバム、直近の2019年作『ラビリンス、シーア&ディプロ・プレゼンツ…LSD』も、LSDなる三者のコラボによるプロジェクト。といった具合で、変則的な作品が続いていた。今回の『ミュージック』も同様にサントラ作品ではあるが、ポップなメロディとドラマが凝縮されたシーア色が全開だ。シーアのファンなら大満足できるアルバムではないかと思われる。

そもそもシーアは他人の気持ちや立場に立って曲を書くのが得意なソングライター。他アーティストに曲を提供する際には、そのアーティストのプライベートな事柄や心境を巧みに織り込んで完成させていく。だからこそリアーナやビヨンセ、ケイティ・ペリーからクリスティーナ・アギレラ、ブリトニー・スピアーズからマルーン5まで、多くのビッグアーティストから支持され、慕われてきた。そんな彼女が映画の主人公をはじめとする登場人物の気持ちを代弁する楽曲を手掛けるのだから、『ミュージック』はまさしくシーアにとって類稀なる才能をフルに発揮できるプロジェクトだったのではないかという気がする。

共作やプロデュースには、いつも通りの気の置けない仲間が勢揃い。グレッグ・カースティン(アデル、ケリー・クラークソン)と、彼の右腕ともいえるジェシー・シャトキン(フィッツ・アンド・ザ・タントラムズ、パロマ・フェイス)や、ジャック・アントノフ(テイラー・スウィフト、ラナ・デル・レイ)が中心となり、曲によっては前述のLSDなるプロジェクトで組んでいたラビリンスや、彼女とは「Titanium」「Flames」など数々のクラブヒットを一緒に放ってきたデヴィッド・ゲッタらが参加。意外なところでは、デュア・リパやP!NKも共作者として名を連ねている。後者による「Courage To Change」に関しては、シーアが一緒に共作したP!NKのナンバー「Courage」(2019年のP!NKのアルバム『ハーツ・トゥ・ビー・ヒューマン』に収録)に触発されて生まれたものだという。ちなみに日本盤CDには、デュア・リパの「New Rule」の80年代リミックスで一躍名を挙げた日本人アーティスト、イニシャル・トークによる「Together」リミックスなども収録されている。

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