澤野弘之が語る、職業作曲家として大事にしている3つの要素

「歌の技術以上に重視しているのは声」

―澤野さんのアンテナに引っ掛かるヴォーカリストの傾向みたいなものはあるんですか?

僕は曲をつくってるときに海外のヴォーカリストを想像することが多いんですよね。そういうニュアンスを持っている人……例えば、アイナさんのハスキーさだったり、優里さんががなったときに出る海外のロックヴォーカリストみたいな雰囲気にすごく惹かれるというのはあると思います。

―「膏」に参加している岡崎体育さんはどうですか?

彼のことは、ヴォーカリストとしてだけでなくクリエイターとしても面白いことをやられている方だなと思っていて。TVなどでは彼の面白いところばかりを見ちゃうと思うんですけど、実は音楽面でもすごくクリエイティブなことをしていて、メロディもすごくキャッチー。歌声に関しては、ギャグ調の曲だと面白さが全面に出ていますけど、そういう曲でも彼の声って純粋にカッコいいんですよね。「膏」は自分なりにポップな要素が感じられるようにつくった曲なので、そのポップさをより広げてくれそうなイメージに一番近いのが岡崎さんだと思ってお願いしました。

【動画を見る】岡崎体育がVoで参加した「膏」のミュージックビデオ

―どの方も一聴してすぐにそれとわかる声ですが、そういうところもポイントだったりするんですか?

今回に限らず、自分がヴォーカリストとしてお願いするときに歌の技術以上に重視しているのは「声」なんです。歌が上手くてわりと普通な声の人と歌はそこまで上手くないけど声に特徴のある人だったら、僕は後者を選ぶと思います。

―歌い方の指示はするんですか?

「Aメロは静かめで、サビで強く歌ってもらえたら」ぐらいのありきたりなことしか言わないです。逆に、レコーディングに臨むまでに各ヴォーカリストの方々がいろいろ考えてきてアプローチしてくださるので自分はそれを楽しみたいですし、そうしていただくことで楽曲を広げてくれていると感じるので、みなさんの力には感謝してますね。

―思ってもなかったような仕上がりになった曲はありますか?

岡崎さんの「膏」ですね。ヴォーカルレコーディングのときにも「これは面白い感じになるな」と思ったんですけど、ハモリも構築した上でミックスをしたらすごく手応えを感じる楽曲になりました。本編の最後を飾る曲にしたいと思うぐらいいい形にしてもらえたと思っています。

―なるほど。

あと、YoshさんとnaNamiさんはこれまでも一緒にやってきているんですけど、改めて彼らのセンスに驚かされたし、悔しくも感じました。彼らも洋楽から影響を受けた音楽をつくっているんですけど、その吸収の仕方が僕とは違っていて、彼らのセンスの素晴らしさを今回のレコーディングで目の当たりにしました。この2人がプロデューサーや作曲家に立場を変えたら自分は敵わないと思うぐらいだったので、改めてご一緒できてよかったと思いますね。

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