「オーケストラの曲をつくるときでもリズムは重要視してる」
―今作はリズムも魅力的で、大きなグルーヴの曲が多いですよね。ノリが後ろに感じられるというか。
曲をつくる上でグルーヴは本当に大事だと思っています。ドラムのリズムトラックもそうですし、シーケンスでもどういうフレージングだと楽曲に一番グルーヴを出せるかというのはけっこう前から意識していますね。楽曲がカッコよく聞こえるのはグルーヴが大きく影響していて、日本の音楽の感覚だと「1、2、3,はい」という縦を感じるリズムが個人的に大きいと思うんですけど、洋楽の場合は縦以外にも横のグルーヴがあって、これがサウンドのカッコよさにつながっているのかなと。そう思うようになってからはリズムに対してよりこだわりを持つようになりました。
―リズムに関しても海外からの影響が大きかったんですね。
歌モノに限らず、サウンドトラックに関しても海外のものはなんで日本に比べてこんなにカッコよさが違うのかと考えてみると、リズムが大きく影響しているのかなと。なので、オーケストラの曲をつくるときでもリズムはかなり重要視していますね。
―ドラムのフレーズ自体はかなりシンプルに聞こえますが。
目立たせたい部分をしっかり出すことでシンプルに聞こえているのかもしれないですけど、実は裏でいろんなものが鳴っているんです。そこはエンジニアが試行錯誤してくれたり、ミックスでいろいろ詰めていますね。
―なるほど。聞こえはシンプルなのにグルーヴがすごく豊かなので理由が気になっていました。
なんだかんだ僕も日本の音楽で育っているので、メロディをつくるときにどうしても日本人的な感覚が出ちゃうときがあるんですよ。そういうものを少しでも緩和させたいので、リズムにこだわることでもう少し違った聞こえ方にしようとしているところはあるかもしれないですね。
―「Till I」の雄大さがすごく心地よいです。
「Till I」もドラムのリズムパターンはわりとシンプルなんですけど、ギターで鳴らしている16分のシーケンス的なフレーズとかがグルーヴに影響していると思います。
―今作はヴォーカリストの幅も広いですね。どうやって決まったんでしょうか?
自分のサウンドを追求したいという原点的な部分で、[nZk]を始めたときから一緒にやってきたヴォーカリストを信頼しているので、今回も参加してもらいたいという気持ちは最初からありました。でも、『R∃/MEMBER』をつくったときに、新しいアーティストの方とコラボする面白さに魅力を感じたので、そういう要素も入れられたら『R∃/MEMBER』を経た意味も出せると思って、そこから楽曲に必要な人を考えたときに僕が普段から気になっていた方ということで浮かんだのがアイナ・ジ・エンドさん。彼女のことは『R∃/MEMBER』のヴォーカル候補を探していたときにたまたま聴いたhideさんのトリビュートアルバムで知って、「こんな声の人が日本人でいるんだ」と惹かれたので、どこかでご一緒したいなと思って今回お願いしました。あと、優里さんは去年ぐらいに歌声を聴く機会があって、それを聴いたときにアイナさんと同じようなことを思って参加していただきました。