澤野弘之が語る、職業作曲家として大事にしている3つの要素

SawanoHiroyuki[nZk](Courtesy of SACRA MUSIC)

アニメ(「進撃の巨人」「機動戦士ガンダムUC」等)やドラマ(「連続テレビ小説 まれ」「マルモのおきて」等)といった劇伴音楽を中心に活躍する澤野弘之によるヴォーカルプロジェクト、SawanoHiroyuki[nZk]が4作目となるアルバム『iv』をリリースした。

Yosh、naNami、mizukiという今や[nZk]作品に欠かせないヴォーカリストに加え、今回初参加となる岡崎体育、アイナ・ジ・エンド、ジャン・ケン・ジョニー(MAN WITH A MISSION)らを中心とした豪華なゲスト陣を迎えて制作された2年ぶりの作品について澤野に話を聞いた。

―SawanoHiroyuki[nZk]の作品は常に独自の世界観を築いているように感じるんですが、澤野さんは曲を作る上で世の中のトレンドをどれぐらい意識しているんですか?

僕はマニアックなことをやりたくて音楽をつくっているわけではなくて、どちらかというとポップなものが好きだったりするんです。ただ、日本のチャートに入ってくるようなものよりもアメリカのビルボードチャートに入ってる音楽が好きで、そういうサウンドに影響を受けて曲をつくっているところはありますね。

―でも、20年前ぐらいに比べるとビルボードに入ってくる音楽も様変わりしていますよね。

ああ、そうそう。今はヒップホップが強いですよね。ヒップホップもトラックがカッコいいと思ったものは聴きますけど、2~3年前にEDMを使ったポップなサウンドが流行ったじゃないですか。あれが自分的にはすごくしっくりくるんですよ。バンドだと、MAROON5とかFALL OUT BOYみたいな打ち込みを取り入れた音。そういう音楽から打ち込みの音色の使い方とか、リズムのとり方に関するヒントを得て、自分なりにつくっていますね。

―[nZk]はポップスともロックともダンスミュージックともつかないサウンドですよね。どういう手法でこういう音に着地するんですか?

 そのときに影響を受けているサウンドが大きいと思うんですよ。僕は海外のサウンドを自分なりに気にしていて、ロックをめちゃくちゃ聴いてるときはそれに感化されてエレキギターやバンドサウンドを重視してつくることもあるんです。今回は打ち込みをより全面に出してつくっているんですけど、それは海外からの影響がありますね。

―具体的に挙げるなら?

今回でいうとDua LipaとかRita Oraみたいにエレクトロなサウンドを駆使しているアーティストとか、一時のHalseyとかそのへんのサウンドに影響を受けていますね。あと、今回は開き直ったところがあって。CDを出すということはビジネスでもあるのですが、前作の『R∃/MEMBER』を作っている時に日本の売れ線の音楽を意識した曲づくりをしたほうがいいのかなと制作中に迷ったことがあったんですよ。でも、本当に自分のやりたい音楽で人に振り返ってもらわないといけないと改めて考え直したんです。なので、今回のアルバムは売れる/売れないは置いといて、自分がカッコいいと思えるサウンドを追求して、それをさらに広げてくれるようなヴォーカリストをチョイスすることによって音楽をもっと楽しめるようなアルバムにしたいと思って作ったところはありますね。

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