aikoが語る、日常を歌にするまでの過程「絡まった洗濯物は好きという気持ちと同じ」

いろんな気持ちが自分の心のなかで生きてる

ー「片想い」も素晴らしいですね。ピアノの練習曲のようなフレーズがすごく可愛らしくて。

私が家で弾いたフレーズをトオミさんがそのまま弾いてくれたんですよ。何歳になっても心のなかにある女の子の気持ちを、音でも歌詞でも表現したくて。

ー10代の頃の片想いの感情がいまも心のなかに残っている?

ありますね。中学とか高校のとき、友達のグループで遊びに行くじゃないですか。好きな男の子と手が触れたりすると、フラッてなってたんですよ、マンガみたいに(笑)。そのときの感触はずっと覚えてるし、いまも同じだなって思うので。そうやっていろんな気持ちが自分の心のなかで生きてるから、いろんな感覚で曲が書けるのかなって。なので「aikoは年甲斐もなく恋愛の歌ばっかり歌って」って言わないでください(笑)。

—「一人暮らし」の「あなたのロンTあたしの体と固結び」という歌詞もビックリしました。これはどういう状況なんですか?

(笑)。ロンTをネットに入れないで洗濯しちゃったら、めっちゃ絡むじゃないですか。毎日のことだから、すごくめんどくさいなと思って。……そういえば昨日、テレビでブロッコリーに美味しい茹で方を紹介してたんですけど、「芯のところは千切りにして」とか「冷ますときはウチワであおぎます」って言ってて、「そんな時間ないよ!」って一人でツッコんでたんですけど(笑)。

ー確かに(笑)。

洗濯もそうで、きちんとロンTをネットに入れたり、色分けするとか大変じゃないですか(笑)。で、こんがらがったロンTをほぐしてるときに、「好きっていう気持ちといっしょだな」と思ったんです。「好きだから、一生離れない」というキレイな蝶々結びではなくて、がんじがらめに絡まっちゃうこともあるよなって。

ー本当に生活のなかから歌のアイデアが生まれるんですね。「Last」のエモーショナルな歌も素晴らしいです。「あなたの息が届く距離のせいで心が震える」というラインもめちゃくちゃエモいなと。

この曲を作ったのはちょっと前なんですけど、アルバムを作ってるときに「今やりたいな」と思って。「一緒にいられるとは思ってなかった」というフレーズがすごく好きだったんですけど、ワンコーラス作ったところでストップしてたんです。でも、島田さんのアレンジがあまりにもカッコ良くて、「早く2コーラス目も作ろう」という気持ちになって。アレンジのおかげで書けた感じがすごくありますね。


Courtesy of PONY CANYON

—なるほど。最後に入っている「いつもいる」も島田さんのアレンジですよね。

はい。この曲は去年の夏くらいに書いたんですけど、ミディアムバラードでけっこう長い曲だし、家で一人で作ってるうちに、いいのかよくないのかわからなくなってきて。でもスタッフが「この曲を最後にしよう」と言ってくれて、アルバムに入れることになって。去年はホントに、この曲で歌ってるような気持ちで過ごしてたんですよ。あのときとまったく同じ気持ちにはなれないし、ちゃんと形に出来てよかったなと思います。

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