細野晴臣の50年間に及ぶルーツ ノンフィクション本とともに読み解く

『細野晴臣と彼らの時代』


田家:それが本のタイトル「彼ら」の由縁でもありますね。門間さんが選ばれた今日の6曲目、今年の2月に新作アルバムが出ました。『あめりか / Hosono Haruomi Live in US 2019』から、「Ain’t Nobody Here But Us Chickens」。



田家:これは細野さんの2019年に行われたアメリカツアーのライブ盤で、ソロになってから初のライブアルバム。この曲を選ばれているのは?

門間:近年の海外における日本のシティポップブームの中で、細野さんの音楽が改めて海外で評価されていて。細野さんもそれに合わせるように海外での単独ツアーを行うようになって、それが2019年に行われたこのアメリカツアーですね。僕もこのツアーを見に行ったんです。今お聴きいただいたのはロサンゼルス公演ですが、あとはニューヨーク公演もあって。僕はニューヨーク公演を見に行ったんですが、物凄い歓声と反応の良さで。若者たちが多かったんですよね。

田家:細野さんのドキュメンタリー映画『NO SMOKING』でもその様子が収められていましたが、そういう感じでしたね。こんなに若い客層なんだなと思いました。

門間:実際に触れてみて衝撃的でしたね。

田家:なんでそういう反応が起きてるんだろうと思いました?

門間:僕が学生時代にはっぴいえんどを聴いた時と同じように、この音楽は新しいと思うんじゃないですかね。今の曲はブギウギですけど、こういう曲をこれほど真剣に洗練されたバンドスタイルでやっているミュージシャンってそんなにいないと思うんですよね。高田漣さんをはじめとするバンドのアンサンブルというのも非常に研ぎ澄まされていて、ライブを観ていてこれほどいいバンドってなかなか無いなと思います。

田家:はっぴいえんどは3枚目のアルバムの「さよならアメリカ さよならニッポン」という曲で、もう日本にもアメリカにも学ぶものがないんじゃないかと言われてましたけど、このアメリカというタイトルがとても象徴的ですよね。

門間:アメリカに帰ってきて、アメリカで音楽を披露して。それは細野さんにとって意味があることだったんじゃないですかね。

田家:そういう新しい世代の中に星野源さんがいたりするのも、この本の一つの流れですね。細野晴臣さんという人は、何者だと思いますか?

門間:ここをずっと考えながら本を書いていたと思うんですけど、それを考えないようにすることによってようやく書けるようになったのかというのもありますね。細野さんを何かに定義づけようとした途端に、それとは違う顔が見えてきて。どうしても一つの何かに収まりきらない方だなと思っていて、とにかくその時代ごとに起きた出来事や心の動きを記録するということでしか、こういう本は書けないなと思ったんです。なんとか書き終えて、そこでようやく何者なんだろう? と考えはしたんですけど、結局は不思議な人だなあ、としか思えないというか(笑)。それ以上のことを定義づけることに意味があるのかな、と思いました。

田家:なるほど。ありがとうございました。2020年末に文藝春秋から発売された門間雄介さんの本『細野晴臣と彼らの時代』のご紹介を兼ねた細野晴臣特集でした。

Rolling Stone Japan 編集部

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