コナン・グレイが語る、Z世代の憂鬱と「現実逃避」を肯定する理由

コナン・グレイ(Photo by Dillon Matthew)

1998年アメリカ・カリフォルニア州出身のコナン・グレイは、Z世代を代表するアーティストの1人として、今、世界から最も注目される存在の1人だ。2月19日に約1年ぶりとなる待望の新曲「Overdrive」をリリースした彼に、楽曲に込めた想いや、そのテーマとなったロマンチックな妄想、ミュージック・ビデオ撮影の裏側について、独占インタビューを決行。地元テキサス州で過ごすコロナ禍の生活の他、広島にルーツを持つコナンらしい、日本のファンへ向けた温かいメッセージも語ってもらった。

―ステイホーム期間中は何をして過ごしていますか?

コナン:全然かっこいい話じゃないけれど、友達とビデオゲームをよくやっているよ。彼らとたくさん電話もしている。こんな時期を乗り越えられるのも、全て友達のおかげだと思っているんだ。今は直接会うことができないから、彼らと話せるだけでも良い気分転換になって。他には本を読んだり、テレビドラマを見たり、みんなも同じじゃないかな。あとは、たくさん曲を書いている。ちょっと気が狂いそうになることもあるけど、いい感じだよ。

―TikTokでは「Heather」と「Maniac」の2曲がバイラルヒットになっていますね。1曲でもすごいことですが、2曲ともヒットするなんて、一体どのような要素が同世代からの支持や反響を呼んでいると思いますか?

コナン:僕はただ、自分が経験していることをそのまま曲に書いているだけなんだ。この世代で生きているZ世代で、同年代のみんなと同じようにインターネットに触れて育ったよ。作詞してみないと、自分が何を感じているのか分からないことも多くてね。だから僕にとって曲を書くということは、自分のため。自分の感情を理解するために曲を書いて、それがアルバムになって、内緒にしていた考えをみんなに聞いてもらう。みんなが共感してくれていることに本当に感謝しているし、自分の感覚がそこまでおかしくないということが分かって良かったよ!





―新曲「Overdrive」のテーマは何でしょう?

コナン:「Overdrive」は、自分の人生でやりたいと思っていたことを全部やって、将来のこととか、心配事とか、人が自分のことをどう思うかとか…そういった不安を何も気にしないことについて歌っているよ。実は僕は超ロマンチストで、道端で素敵な人を見かけると、「ああ、あの人はとっても素敵で美しいし、僕はもうあの人を愛している。一緒に海外に引っ越して、幸せな暮らしを送るんだ!」とかいつも妄想しちゃうんだ。

この曲はそんな風に、見知らぬ美しい人と出会って、もし僕がこんなにシャイじゃなかったらその人と一体どんなことをしたいかなって考えた曲。僕、めちゃめちゃ人見知りなんだよね。だから、そう、この曲はファンタジー。現実逃避をして、白昼夢を見ているような感覚だね。



―妄想がきっかけで生まれた曲だったのですね。この曲を聴く人には、どんな印象を与えたいですか?

コナン:リスナーに感じて欲しいのは、ちょっとした安心感とか現実逃避みたいなもの。今は、とにかくみんなに楽しんでもらいたい。人を悲しい気分にさせる曲もあれば、パンツ一丁で跳んだり踊ったりしたくなる、幸せな力を持つ曲もあるよね。2020年は大変な年だったから、みんなに少しでも元気になってもらいたくて、意図的に"悲しくない"ものにしたよ。それで自分に「コナン、誰かを泣かせない曲を出そうよ」って言い聞かせた。嬉し涙をさそい、ホッとした気持ちになれる作品を作りたかったから。

その反面、僕は地球上の何よりも悲しい曲を書くことが好き。すぐにまた、みんなを悲しませるような、憂鬱な曲を出すだろうね(笑)。でも、今年はポジティブな気持ちでスタートしたいと思って。「ちょっとだけ、少しだけ、物事が好転しているかもしれない」という気持ちで今年を迎えたいと思っていた。「Overdrive」はそんなポジティブな気持ちをファンタジーとして捉えた作品だね。

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