Mr.Childrenの「読むベストアルバム」と共に30年の軌跡を振り返る



2002年12月に発売になった『HERO』ですね。アルバムは2002年3月に出た『IT’S A WONDERFUL WORLD』です。この第五章「HERO」は2001年から2003年の3年間の話ですね。

2001年は、9月に初めてのベストアルバム『Mr.Children 1992-1995』と『Mr.Children 1996-2000』をリリースしています。このベストアルバムと「優しい歌」から、この章は始まっています。鈴木さんは「優しい歌」をデビュー前にやっていたような曲だと思って、桜井さんに「生涯現役でいましょう」とメールしたそうです。そして、桜井さんは「それはジェン(鈴木英哉)にかかってるんだ」と呟いたという記述もありました。

そして、2001年の流れの中で、避けられない話題が桜井さんの話題ですね。7月17日の渋谷公会堂から予定されていた10周年ツアーが、桜井さんの小脳梗塞で3、4ヶ月充分な休養が必要なために無くなってしまった。この話は当時のインタビューでも触れていませんでしたし、小貫さんもあまりセンセーショナルにならないように、そして読んでいる人がこの頃のことを殊更に特別に思わないように、という配慮をしながら書いている感じがしました。歌入れのスタジオの様子とか、12月21日の横浜アリーナの復活ライブの様子とか。ドラマチックにすることもできるんですけど、できるだけそうしないように書いています。「HERO」に対しての桜井さんの言葉は、この章の一つの重要なポイントです。「確かにヒーローは存在するんだろうけど、無理して誰かを祭り上げたりすると、そのことで見えなくなる大切なこともあるんだと思う」、という言葉も引用されていました。良いことも悪いことも全部バンドのものにしたのが、この『IT’S A WONDERFUL WORLD』だったという章でした。この本は全部で11章あるんですが、今日は時間の関係で7つの章しか紹介できないので、次でおしまいになります。

Rolling Stone Japan 編集部

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