Mr.Childrenの「読むベストアルバム」と共に30年の軌跡を振り返る



これが第三章のタイトル曲です。第三章は30ページあります。さっきの第二章は簡単に言ってしまえば売れるまでの話ですが、この第三章は売れた後ですね。「Tomorrow never knows」でセールス的な意味でも頂点を極めてしまって、そこから彼らが何を悩んでいたか? という部分です。章の冒頭には見出しの曲の詞が掲載されているんですが、「名もなき詩」の歌詞をずっと読んでから本文に入っていくと、この言葉がリアルに伝わってきますね。“この喉を切ってやる”という歌詞がどうやって生まれたのか? “もがいているなら誰だってそう 僕だってそうなんだ”という部分がどういう意味なのか? 途中のラップパートが誰に影響されたのかという話も出てきます。

この1995年、1996年はアルバム『深海』がどう始まったかという章でもありますね。レコーディングはニューヨークに行っているわけですが、当初、小林武史さんは初期のピンク・フロイドのようなアルバムのイメージ、桜井さんは井上陽水さんのデビューアルバム『断絶』をイメージしていた。これは78ページに書いてあります。そして、二人がイメージしていたことが同じような方向だったということに落ち着いています。この問題作についてのメンバーの反応や桜井さんが当時どう思っていたか? 例えば「思っていた以上に深いところに行ってしまった」という感想も載ってます。この深海から、彼らがどんな風に戻っていったのか? 「一体、海の底からの生還はいつになるだろう? 潜水士の格好をした4人を見かけるのは少し先のことだ」。これが89ページ、第三章の終わりの一言ですね。そして、第四章のタイトルはこの曲です。

Rolling Stone Japan 編集部

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