ザ・クロマニヨンズ、有観客ライブで示したロックの普遍性

場内では、公演タイトルに合わせてなのか、タイトルに”SHAKE”の文字が入った楽曲が何曲も流れ続ける。前説で「人類のクレイジーロッケンロールピーポーの皆さん! 心の準備はいいですか? ロッケンロールの用意はできましたか?」と、観客を煽る。プリミティブなストンプサウンドと野生児の咆哮と呻き声がSEとして響き渡ると、ステージにメンバーが登場。演奏陣が一瞬のサウンドチェックをしている間にも、甲本ヒロトはスタンドからマイクをむしり取り、自分に搭載されたロックンロールのエンジンを煽るように、ヒロト独特のステップを刻み始めていた。

先述のSEを切り裂くように、「オーライ! ロッケンロール!」とヒロトが叫ぶと、1曲目「VIVA! 自由!!」からライブがスタート。”自由は最高!”と歌うサビ、そして、それに応えて拳を高く突き上げる会場の様子は、とてつもない力強さと一体感を感じさせてくれた。そんな会場に応え返すように、当日59歳の誕生日だったマーシーも久しぶりの有観客ライブを楽しんでいるようで、間奏中も何度も手を上げる。童謡ロックとも言えるようなキャッチーな楽曲の最後を”楽しいな”と歌い上げると、ヒロトは満面の笑顔で「よく来てくれた! 最後まで楽しんでいってくれよ!」と、大声で感謝を告げる。

そのままドラムビートが始まると、ヒロトの馬の嘶くようなハーモニカが炸裂し、「暴動チャイル(BO CHILE)」、「浅葱色」を披露。物凄い音圧のロックンロールが会場全体を大きく揺らす。コロナ禍で久しく生の演奏を体感していなかったこともあったかもしれないが、ザ・クロマニヨンズの持つロックのパワーに他ならないものとして伝わって身体が震えた。


小林勝(ベース,Photo by 柴田恵理)


桐田勝治(ドラムス,Photo by 柴田恵理)

さらにライブは、最新アルバムの収録順に進んでいく。同作には、コーラスが入っている曲が多く収録されている。「新オオカミロック」では、本来タイトル通り狼のように叫ぶこともできたかもしれないが、コロナ禍では観客たちは叫べない分、曲の合間合間にヒロトは"お前らの声は聞こえてるぞ"と言わんばかりに、会場一人一人を狙うように力強く指差す。

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