戦争の闇を背負った子供たち アメリカで連続殺人鬼が多い理由

掌に五芒星を入れた拘留中のナイト・ストーカーことリチャード・ラミレス(中央)(Photo by ASSOCIATED PRESS/AP Images)



女性の殺人鬼に見られる傾向

セックスワーカーたちが経験値をあげるにつれ――被害者候補も次第に少なくなっていった――シリアルキラーはインターネットに方向転換した。最もわかりやすい例がCraigslistキラーことフィリップ・ヘインズ・マルコフだ。彼は強盗3件と殺人1件の容疑をかけられたが、有罪判決は受けていない。彼は2009年にCraigslistで知り合ったマッサージ師を殺害した容疑で起訴されたが、2010年、公判前に自殺した。「警察と殺人鬼のいたちごっこですね。あちらはより簡単に被害者に接触できるところへと流れていくんです」とホールズ氏。「テクノロジーは犯人をある種の犯罪から抑制する一方、別のタイプの犯罪へと向かわせます。(複数の)事件が起きても、ゴールデン・ステート・キラーのような事件にはならないでしょうね。テクノロジーがすぐにこの手の犯人を捕まえるでしょう。その点は私が保証します」

【画像を見る】2009年、殺人罪で起訴されたフィリップ・マルコフ。彼は無罪を主張したが、公判開始前の2010年に自殺した

ファロン氏いわく、シリアルキラーが特定の時代に集約されているように見えるのは、言語も一枚絡んでいるという。FBIのロバート・レスラー捜査官は、70年代にシリアルキラーという用語を発案したと言われている。「警察やFBIの人間、犯罪学や法医学の一部の人間と話をすると、みなこの用語を定義にそって、犯罪を分類するのに使っています」と彼は言う。「精神医学や心理学の人間からすれば、こうした定義は大して役に立ちません。こうした定義は、FBIの統計目的で人工的に作られたものです。私もまったく役に立たないと思います」

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例えば、女性のシリアルキラーの数は我々が思っている以上にはるかに多いとファロン氏は言う。アイリーン・ウォーノスのような殺人犯は稀な例だが、女性は自ら殺しに手を染めるよりも、むしろソシオパスに汚れ仕事をやらせるサイコパスであることが多い――チャールズ・マンソンが信者らに犯罪を実行させたのと同じだ――それゆえ、しばしば見過ごされがちだ。「女性のシリアルキラーの数は、人為的に低くなっているというわけです」とファロン氏。「ですが他人を操って汚れ仕事をさせたケースも勘定に入れれば、男性と同じぐらいの数に上ります」。その証拠として、ファロン氏は2019年の研究を例に挙げる。1856年から2009年の間に、アメリカで殺人を犯した55人の男性シリアルキラーと55人の女性シリアルキラーを対象にした研究だ。それによれば、男性はしばしば「狩りをする側」――見知らぬ人間を探し出して殺す――なのに対し、女性は「集める側」、つまりご褒美目当てで集まってくる人間を殺すことが判明した。その好例が介護施設のオーナーだったエイミー・E・ダガンだ。彼女は1900年代初頭、5人の老人と結婚して5人とも殺害。さらに9人の老女に自分の名前を遺書に書かせ、その後毒殺した罪で有罪となった。

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Translated by Akiko Kato

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