BABYMETALが語る、ヘヴィメタルから教えてもらったこと

メタルが持つ「物語性」

ーテクニカルなところで言うと、メタルって「速さ」っていうのも大切な要素の一つだと思うんですよね。でもそれはいろんな要素があってこそ。70年代後半以降のハードロックに大きな影響を与えたヴァン・ヘイレンのギタリストで10月に亡くなったエディ・ヴァン・ヘイレンは、いわゆる「速弾き」に革新をもたらした人なんだけど、彼いわく「ロックンロール・ギターは、ブルース・ギターと同じように、メロディ、スピード、テイストがあるべきだし、それ以上に重要なのは、感情があるべきだということ」って話してて、BABYMETALの音楽にもメロディ、スピード、テイストがあるなと思ったんですよね。

SU-METAL:「Road of Resistance」の堂々としたカッコよさっていうのは速さから出ているものだと思うんですけど、その演奏に合わせて私が歌うメロディは速いというより、どっしりと流れるような感じなんですよね。速さと遅さってミスマッチな感じがするのに、「Road of Resistance」はすごくマッチしている。それが美しいと思ったんです。私たちはメタルの音楽の楽器演奏に関して細かい部分までは理解できていないのかもしれないけど、一曲の中にいろんな要素が詰まってるからこそいろんな物語を引き出せる。そういう魅力がメタルにはあるんじゃないかなと思います。

ーMOAMETALさんはどうですか。ダンス視点で見ると、こんなに速いツービートで踊ることもないと思うんですけど。

MOAMETAL:BABYMETALのダンスってどんなジャンルなのかなって考えた時、ヒップホップでもないしなんだろうなって思うんですよね。だから人に説明する時も「どんなダンスなの?」って聞かれても「“BABYMETAL”っていうダンス……?」っていう感じになってしまう。でもそうやって一からBABYMETALのダンスとして学んできたから、意外と大変じゃなかったというか、そういうものとして練習してきたからそこまで苦戦はしなかったんです。逆に、最近になって3rdアルバム(『METAL GALAXY』)に入ってる「BxMxC」とか「Brand New Day」とか、ちゃんとしたダンスの要素が入った曲には苦戦して。私はBABYMETALのダンスが得意なんだなって気づきました!



ーちなみに音楽以外でメタルの「カルチャー感」を感じるところって何かあります? 僕は20年くらい前にイギリスのオズフェストに初めて行った時、家族連れがたくさんいることに驚き、若者のファッションが「ヘヴィメタル!」というよりはゴス系の人も結構多くて、そういうのを見て「文化として溶け込んでるんだなぁ」と思ったのですが。

SU-METAL:日本のロックフェスに行くぐらいの感覚でメタルフェスに来てる若者も多ければ、音量大丈夫かなっていうぐらい小さな赤ちゃんを連れて観ているお父さんとか、いろんな方がいて不思議です。日本でメタルを聴いてる人たちって、どちらかというと年齢層が高い方が多いイメージですけど、向こうだとファミリー文化みたいな感じ。私たちのライブも、映画館に来るのかなぐらいの感覚で。近所でやってるから行ってみるか、みたいなノリでライブに足を運んでくれるというか、そういうラフな感じでメタルを楽しんでるのはすごく不思議でした。

MOAMETAL:確かに海外はメタルが文化に溶け込んでる感ありますね。日本もそういう風になればいいなと思います。

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