「世界一の稼ぎ頭」と呼ばれた米ラジオ司会者、右派リスナーが信者化した理由

米右派の大物司会者、ラッシュ・リンボー(Photo by Mark Peterson/Corbis/Getty Images)



全盛期の『ラッシュ・リンボー・ショウ』は全米600以上の系列局でオンエアされ、毎週2500万人のリスナーを獲得

女性やマイノリティに対する不快な物言いにもかかわらず、リンボーはESPNのアメフト解説者に抜擢された。これは大きな過ちだった。リンボーは「黒人クォーターバックがいい仕事をすることをメディアはずっと望んでいただろうに」と発言して、イーグルスのスタメン・クォーターバックだったドノヴァン・マクナブ選手を酷評し、番組開始からわずか数週間でクビになった。

ラジオ界でのリンボーの活躍は目覚ましかった。全盛期の『ラッシュ・リンボー・ショウ』は全米600以上の系列局でオンエアされ、毎週2500万人のリスナーを獲得。また彼は4億ドルで8年契約を結び、「世界一の稼ぎ頭のラジオ出演者」という称号をハワード・スターンと分ける形となった。

後年は彼の思考も陰謀論へ傾き、とんでもない嘘ばかり広めていた。2006年には、俳優のマイケル・J・フォックスが幹細胞研究の推進のためにパーキンソン病の症状を誇張している、という嘘の批判を展開した。2007年には、イラク戦争に否定的な退役軍人を「いんちき兵」呼ばわりした。2010年には、メキシコ湾原油流出事故は環境保護活動家が引き起こしたのではないか、と主張した。2017年には、民主党が自分たちの政治目的のためにバージニア州シャーロッツビルでの白人至上主義者による暴力事件を好き放題にさせた、と非難した。

「それが民主党のやり方だ」と彼は主張した後、別の陰謀論を展開した。「クリントンも同じだ。オクラホマシティ爆破事件のおかげで、起死回生した。民主党は危機を察知しては、それを利用する方法を探し、その一方で世間には問題解決に奔走していると思わせている」 昨年2月に大統領自由勲章を受勲した直後には、「諸君、コロナウイルスは普通の風邪だ」という危険な主張を展開――トランプ大統領を攻撃するために「兵器化された」ウイルスだとほのめかした。

リンボーは数々の病に悩まされていた。2000年初期にはほぼ完全に聴覚を失ったが、蝸牛刺激装置を移植して聴覚を取り戻すことに成功。またオピオイド中毒にも悩まされていた。2006年には「ドクターショッピング」――複数の医者を転々としてオキシコンティンを過剰に入手した容疑――で刑事起訴されたが、18カ月の裁判所観察措置で司法取引に応じた。2020年1月に肺がんと診断され、10月には末期状態であると公表した。

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from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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