コロナ禍で世界進出した日本人アーティストから探る、アフターコロナの音楽シーン

ーアーティストやジャンルによって全く変わってくるのが、作曲の手法だと思います。おふたりはどのような工程で曲を作られているのでしょうか?

Kirk:ふたりの曲に関しては、まずDANTZさんが作ってくれたトラックを僕が聴いて、そこから降りてくるメロディーから歌を作っています。例えるなら、ハンバーガーのようなイメージ。まずDANTZさんからハンバーガーの一番下のバンズをもらって、その上に歌詞やメロディーを具材のように入れて、最後にブラッシュアップをしながら一番上のバンズを乗せていく感じです。



ーハンバーガーという例え、面白いですね!わかりやすい。DANTZさんはKirkさんの声質をイメージしてトラックメイクをしているんですか?

DANTZ:声質をイメージするというよりかは、基本的には先に「こういう曲を作りたい」というイメージがあって、そこから自然発生するものを形にしています。

ー歌詞やメロディーなどの“具材”については、Kirkさんと話して決めるんですか?

DANTZ:そうですね。例えば「女性のラッパーを起用しよう」とか話して、二人の目指すイメージに近づける要素を取り入れています。

ー日本では音声合成ソフト・VOCALOIDで楽曲を制作しているボカロPと呼ばれる方々がいるのですが、彼らは作曲からミックスダウン、マスタリングまで一貫して一人で行うらしいんですよ。おふたりはそうしたエディット作業をどのようにされているんですか?

DANTZ:僕もKirkも、それぞれ指名のエンジニアがいるんです。

Kirk:ボーカルはこの人、ポップはこの人、R&Bはこの人というように、それぞれのパートごとに指名している人がいます。僕もDANTZさんもディティールに結構うるさい方だと思います(笑)。

ーパートでエンジニアを分けるのは、かなりのこだわりですね。日本だとひとりの方がすべてやることが多い気がします。

DANTZ:今僕たちが関わっているジャンルは、ミックスやマスタリングがすごく重要なんです。例えば僕の曲を一番聴いてくれているのは、ロンドンのリスナーで。次いでNY、LAと、欧米の方がたくさん聴いてくれています。Lemon Soda Musicは欧米にもアプローチをするために立ち上げたので、彼らの耳に届くためには、細部にこだわった音作りが重要なんです。

Kirk:エンジニアの方々もそれぞれプロフェッショナルなので、自分の得意な部分や不得意な部分をしっかりわかっているんですよね。だから他のエンジニアにもリスペクトがある。「ボーカルは彼の方がセクシーにできるよね」とか。

Rolling Stone Japan 編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE