米国史上唯一の未解決ハイジャック事件、運命を狂わされた客室乗務員の半生【長文ルポ】

ハイジャック事件に遭遇した客室乗務員、ティム・マックロー(Courtesy of Tina Mucklow)



マックローはその生涯を通じて、他人を幸せにしようと努めてきた

過去約30年間、マックローはオレゴン州ユージーンに住んでおり、助けを必要としている人々に手を差し伸べている。彼女は1993年に修道院をやめ、社会福祉について学んだ。「自分が属するコミュニティと繋がり、よりパーソナルかつ直接的な形でサポートをしたいと思っていました」。そう話す彼女は、市民からのSOSに対し、警察ではなくメンタルヘルスの専門家を派遣する支援団体や、精神病院を退院して社会復帰を目指す人々をサポートする施設に勤めた。また外来患者の学習とリハビリの支援センターの立ち上げや、ホームレスや統合失調症等の障害を抱えた人々のサポートにも携わった。

メアリー・アリス・ジョンソンは元精神病患者の社会復帰を支援する組織でマックローと出会い、信仰だけでなくと旅行が好きだという点でも共通していた2人は良き友人同士になった。ジョンソン曰く、マックローは他人を深く思いやることができる頑張り屋だが、誰とでも付き合うようなタイプではないという。「彼女は内向的で、世間からの注目を欲してはいません」。彼女はそう話す。

現在71歳のマックローは少し前に引退し、Covid-19パンデミックが収束した際には炊き出しのボランティアに参加し、友人たちと会って外食を楽しむつもりだという。彼女は現在もミネソタに住んでいるRataczakと、数カ月に1度は電話で話している。「彼女がこっちに戻ってきてくれたら、もっと頻繁に会えるんだけどね。そうなることを願うよ」。彼は冗談混じりにそう言った。


現在71歳のマックロー(Photo by Ricardo Nagaoka for Rolling Stone)

マックローはその生涯を通じて、他人を幸せにしようと努めてきた。離陸前に乗客にマティーニを振る舞い、その42名の命を守るべく危険なハイジャック犯の気を静めようとしたことは、彼女の人生の初期の出来事にすぎない。事件以来、彼女はただそっとしておいてもらうことを望んでいた。礼儀を重んじる彼女はそう口にしてはいないが、彼女には取材要請に応じる義務も、捜査に協力する責任もない。「私は他のクルーとともに、客室乗務員としての責任を果たそうと最善を尽くしただけです。目的があったとすれば、飛行機を無事に着陸させ、乗客たちを降機させることでした」。彼女はそう話す。「私たちの誰もが、そんな風に人々の記憶に残ることを望んでいると思います」

from Rolling Stone US

Translated by Masaaki Yoshida

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