海外フェス出演常連のアーティストがひも解く“表現者”であることのマインドと生き方

SAORI KANDA:なるほど〜! Dachamboはそんな風にはじまっていったんですね。

CD HATA:そうだね。もう20年くらい前だね。ギターでバンドをやってて、そこから打ち込みの音楽にいき、1人で音楽を作ってると1人の世界観に入っていく感じで、もちろんその良さもあるんだけど、みんなと一緒に音楽を創り上げるって楽しみを、1人でやるってことをやってみたからこそ再確認できたっていうのもある。だから今もDachamboってバンドもやりながら、1人でDJもやってるのは自分の中でもバランスが良くて、他にもi-depのSAXの藤枝伸介くんや、インドヴァイオリンの金子ユキさん、Ableton Meetup Tokyoを一緒にやっているKoyasくんとかと、それぞれユニットをやっているのも自分の中では自然なことなんだよね。Ableton Meetup Tokyoっていうのは、Ableton Liveって音楽ソフトのユーザーコミュニティーみたいなものなんだけど、それとはまた別でDJスクールで音楽ソフトを教える講師もやってて、全部同じっちゃ同じ感覚でやってるかなぁ。

SAORI KANDA:同じ感覚でやってるんですね! とはいえ、それぞれシーンの違いによるもどかしさを感じる事ってあったりしないんですか?

CD HATA:確かに違いはあるといえばあって、Dachamboは2000年になった頃にはじまったんだけど、当時、野外レイヴにバンドが出演するっていうのが増えていった時期で、バンドシーンと野外パーティーのシーンが融合していくのを目の当たりにしてて、バンドシーンとDJシーンって、当時からすると分け隔てはなくなってきた感じするけど、やっぱり何か壁はまだあるかもね。相当、架け橋的なことはやってきたつもりだけど(笑)。同じように、音楽を作っている側と実際に演っている側にも壁というか、感覚の違いはあるかもね。インドア派とアウトドア派の感覚の違いなのかもしれないね。どっちがいい悪いじゃないんだけど。SAORI KANDAさんも野外パーティーシーンで色々やってきてるみたいだけど、最初のきっかけってどんな感じだったの?

SAORI KANDA:野外パーティーとの出逢いの一番最初は、2003年頃"ANOYO"が初参加だったかな? 当時付き合いはじめたばっかりの現旦那に誘われて、産まれてはじめてレイヴに参加して。野外で踊る楽しさに開眼して、佐渡の潮風に吹かれて爆音に身を委ねて踊るの最高だったな。それまではテレビで流れる音楽番組でしか音楽を聴いたこと無いような人だったけど、野外ステージのキラキラと幻想的なビジュアルインスタレーションの最中、爆音にシンクロして朝日を迎えるまで踊り明かす。こんな世界があるなんて! と、何か扉が開いて、一気に新たな創作意欲がむくむくと湧き始めた! それまでろくにキャンプとかした事無くて、アウトドア自体馴染みのない生き方していたけど、ある意味、己の中の眠っていた部分が目覚めたというか、あっという間に野外パーティーにすんなり馴染んだ感じ。次に覚えてるのは2003年頃の"蟲の音"で、青梅の山間の会場に辿り着くと、真っ暗な山道にぽつりぽつりと怪しく灯籠が燈って、連なる屋台からなにやら美味しそうな香りの湯気が立ち込めて、子供の頃から何度も夢で見たことある様な景色で、灯りを追って山道を進んでゆくと、森の中に木霊する音がだんだんとクリアになってきて、森に包まれて嬉しそうに踊る人々の身体のシルエットと、煌めく光の極彩色がとても美しくて「ああ、私ここが好き!」と刻まれたな。

Rolling Stone Japan 編集部

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