常田大希が語る「祈り」の真意

常田大希(Photo by Masato Moriyama)



アルバムのストーリー、ermhoiと言葉を編んでいく方法、常田が込める祈り

―実際、『THE MILLENNIUM PARADE』の曲順はどういうストーリーや意図で決めましたか?……という質問は野暮ですよね(笑)。

常田:……本当に、聴いてて気持ちいいなっていう(笑)。

―あははは(笑)。この芸術性を言葉で説明しろというのは野暮でした。

常田:キーになる曲ができていって、去年の年末くらいから全体を整えだして、それらの曲の接続を作っていく作業をして前後を固めていった感じですね。

―「FAMILIA」の歌詞は常田さんによるものですが、多くの曲はヴォーカルをとってるermhoiさんが書かれていますよね。ermhoiさんは、常田さんの経験や死生観をすごく汲んでいるというか。

常田:そうだね。リンクしてるところもあると思います。

―ermhoiさんとはどういう話をされて、なにを共有して、歌詞を書いてもらっているんですか?

常田:「こういうことを訴えたい」とか、そういうのは基本的にそんなに言わないですね。作り方は曲ごとに違いますけど、おおよそのテーマとか、タイアップの曲だとキーワードとかがあって、そこからホイちゃん(ermhoi)が作ってきたのを二人で修正していく感じ。たとえば「Bon Dance」だと、タイトル通りですけど「新しい盆踊りを作る」みたいなところから始まって、「盆」というものの起源とかを共有しつつ、こうなっていった感じですね。曲によって第3、4、5稿までいくとか、そういうこともありますけど、年々自然とトーンが揃ってきてる気はします。一緒に作り始めた最初の頃は、もっと大きな違いを擦り合わせないといけなかったんですけど。ただ、このプロジェクトにおいては、普段彼女が自分の作品で歌ってることよりももっと直接的な表現を心がけてもらってはいますね。

―ermhoiさんに限らず他のメンバーもそうだと思いますけど、クリエーションの部分だけでなくて、そういった命とか社会に対する眼差しも重なるものが多いと感じていますか?

常田:そうですね。やっぱり、近いところにいるということは、そういうことだと思います。

―「Plankton」は、単曲で聴いてたときはそう思わなかったけど、アルバムの流れで「Deadbody」のあとに聴くと死体を焼く前の描写にも聴こえて。

常田:あ、そうそう。着想していったのは、死体が海の中に沈んでいって、「Plankton」が始まる、というような。アルバムの展開、ストーリー軸としてはそういう感じ。というのは、まあ、こじつけですけど(笑)。

―「Plankton」を書き始めたときから、アルバムのテーマや流れを考えていたわけではない?

常田:もちろん自分の人生に沿って作品を作っているので、自然と曲ごとのトーンや流れは揃ってきます。プランクトンって海のイメージがあるし、生命のおおもとみたいな意味合いが海にはあると思うので。大きな意味で「生と死」を表してるというか。

―死者へ語りかけ、偲び、葬る様を描いたあとに、「2992」があって。この曲は1992年生まれの自分が1000年後に生きている人に今のことを伝えるなら、といったテーマがあったそうですが、これはリリックを書き始める前にermhoiさんとなにか話されました?

常田:「2992」は、まずベースに番組(NHKスペシャル「2030 未来への分岐点」)の意図やテーマがあって。彼女自身が環境問題だとかそういう方向へのアンテナがしっかりとあるアーティストなので、本当に自然と近しいポイントを書いてきましたね。



―そのあと、DTMP(millennium paradeの前身プロジェクト)時代のピースを繋ぎ合わせたインタールード「TOKYO CHAOTIC!!!」があって、Srv.Vinci時代の楽曲をリアレンジした「Philip」「Fireworks and Flying Sparks」と続きます。「Philip」リリース時に「過去にやってたアンダーグラウンドな活動をしっかり肯定していきたいし、当時の延長線上に今の俺たちがいるのを再確認するようなことをやりかった」と話してくれましたけど、自身の歩みや人生を肯定しようとする意味合いをさらに強固なものにしているなと。今作で、Srv.Vinci「Diving To You」のリアレンジとして「Fireworks and Flying Sparks」を入れようと思ったのは、なぜ?

常田:流れ的にというかね。チャーチ(教会)感、祈り感というものをすごく意識してアレンジしていったので、今回のアルバムのテーマにはぴったりかなと思って入れました。「FAMILIA」のMVでも、祈りの象徴みたいなものとして「煙」がキーになっているので。

―常田さんがこのアルバムを語る上で「祈り」という言葉を使うとき、なにを祈りたいのでしょう?

常田:本当に、ささやかな光だったり希望みたいなもの。少しでも、人が人生に希望を見出してくれるように。そういう祈りですかね。



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