RADWIMPSの軌跡を読む 担当ディレクターが語るバンドとの友情

人生 出会い / RADWIMPS

田家:改めてこの曲で思い出すことはなんですか?

渡辺:その前に『もしも』を100円でシングルカットしていたんですけど、やっぱり僕にとってはこの曲が始まりなんです。本にも書いたんですけど、新宿のタワーレコードの試聴機でRADWIMPSに出会って。ヘッドフォンで聴いていると、あの頃に戻れる気がします。

田家:「ディレクターとして新しい才能に会いたい、そして新宿のタワーレコードの試聴機を全部聴いて、横浜の高校生バンドデビューという店員が書いた手書きのポップに惹かれて聴いた。その瞬間、新しい風が吹いてきたようだった」と書かれています。その時の印象は「彼らの音は自分で自分を制御できない怪物の音楽に聞こえて、その過剰さに翻弄された」。上手い表現ですね。

渡辺:曲を聴いた時は、「どんな感じでやっているんだろう?」と思ったんですけど、彼らはたぶん何も考えていなかったんです。内から溢れてきちゃって、自分で自分をコントロールできない人の音楽みたいに聞こえたんです。

田家:その時、同時に恐怖を感じたとも書かれていますね。

渡辺:新人の素晴らしい方を探しに行くと、誰か先に声をかけていて僕の出番がない時もあったものですから、今度もそうなるんじゃないかなという恐怖がありました。こんなすごい音楽を良いという人が、僕一人しかいないわけがないと思って。

田家:そこからどうしていったのか? このあとお伺いしていこうと思います。本の中に第三者や関係者が登場してくるのですが、インディーズ時代のアルバム『RADWIMPS』を作ったNEWTRAXXの大滝さんがとても重要な人物として登場されています。とても印象深かったのが、大滝さんのところに行くときに企画書を持っていって、その企画書が「もしももしも 僕がRADWIMPSと仕事をする幸運に恵まれたなら」というタイトルだった。

渡辺:そうですね。当時、大人のところに行くのに菓子折りを持って行く余裕はなかったんですよ(笑)。手ぶらでやらせてくれというのも変なので、企画書を持っていこうということで。この本を出すに当たっても、大滝さんにお目にかかったんですけど、その時にまだ当時の企画書をとってあると仰っていて嬉しかったです。

田家:そうなんですね。この企画書はメンバーも知ってるんですか?

渡辺:いや、この本で初めて知ったんじゃないですかね。

田家:こういう本は、そういう面白さもあるんですよね。本人たちも知らないところで、色々なことが動いていたんだよっていうのも書かれているわけですし。ファンの人たちも改めてバンドのことを理解する、見直すこともあるでしょうね。そして、初めてライブを見たのは2003年8月28日の横浜アリーナで開催の「ヨコハマ・ハイスクール・ミュージックフェスティバル」だったと。その後に、野田さんの受験もあったりして動きが少し止まっていた時期もあった。

渡辺:待つしかなかったですね。もし受験に落ちちゃったらどうするんだろう? と思いながら待っていました。

田家:なるほど。続いて、本の中から渡辺さんが選ばれた二曲目がこちらです。

Rolling Stone Japan 編集部

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