LAMP IN TERREN松本大が語る変化の理由「向き合うべきは、自分ではなく世界」

LAMP IN TERRENの松本大(Photo by Mitsuru Nishimura)



「タバコは自分の呼吸が可視化される」

そう言って、笑いながらタバコに火をつけた。実は本アルバムの中にも、タバコについて歌った“いつものこと”という曲がある。“赤い光は吸い込んだら煙に変わってダンスした その少し青い踊り子を窓の外へ見送る”という詩的な表現には、彼のタバコへの愛が込められているようだ。


Photo by Mituru Nishimura

「タバコって、自分の呼吸が可視化されるじゃないですか。生きて呼吸していることを強烈に意識させてくれる。そこがすごく面白いと思ったんですよね。1本吸い終わるまでの時間って大体決まっているので、時間の進み方も分かる。基本的に、曲を作っていて煮詰まった時に吸い始めるので、何も生み出せていない時間の象徴みたいな感じもあって(笑)。それも含めて愛着を感じるというか。タバコはすごく自分の近くにあるものだと思っています」

好きな銘柄は3種類。「ラッキーストライク」「メビウス・プレミアムメンソール・オプション・レッド・ワン・100s」「パーラメント」を順番に回しているという。それにしても、2018年に声帯ポリープの切除手術を受けるため、バンド活動を一時期休止させたこともある彼が、いまだにその原因となったタバコを吸い続けているのはなぜだろう。

「手術する時も、医者には『禁煙した方がいい』と散々言われました(笑)。でも、結局のところ人間は必ず死ぬし、喉だって他の器官と同じく消耗品じゃないですか。そう思うと、先々のことを考えながら生きていくより『今、この瞬間』が輝いてさえいればそれでいい。そんな破滅願望みたいなものが、僕の中にあるんですよね」

彼が好きなファッション・デザイナーも、そんな松本の思想と通じるものがあるという。

「日本ではまだまだ無名なのですが、フランス語で『憂鬱な金持ちの子供たち』を意味するユニセックス ブランド、Enfants Riches Deprimes(アンファン リッシュ デプリメ)が好きでよく着ています。コレクションのテーマとして『フレンチパンク』を掲げるなど、音楽とも親和性が高くて。そういうところにも惹かれますね」

退廃的な匂いを纏い、アートやファッションを自己表現の手段ととらえる松本大。彼と話をしながら、ぼんやりとジャン・コクトーのことを思い出していた。彼もまた、写真や小説、絵画などでマルチな才能を発揮していたアーティスト。そういえば、コクトーが執筆した中編小説のタイトルは『恐るべき子供たち』(アンファン テリブル)だった。

「実はつい先日、コクトーの言葉『詩人は未来を回想する』をタトゥーに入れたんですよ。今を生きることはもちろん大切ですが、自分がたった今発した言葉、作り出した音楽が、今よりも先の未来でどう響くのか、ずっと先まで鮮度の高い作品を作るにはどうしたらいいのか、常に意識しながら生きていきたいですね」

ロケ地協力:桜丘カフェ

松本大(まつもとだい)
LAMP IN TERRENのヴォーカル&ギター、ピアノ。バンドの作詞作曲全てを手掛ける。2006年、長崎県で結成。2015年1月、1stアルバム『silver lining』でメジャーデビュー、2020年10月に最新アルバム『FRAGILE』をリリース。
https://www.lampinterren.com/

<INFORMATION>


『FRAGILE』
LAMP IN TERREN
A-Sketch
発売中

『Maison Diary』
LAMP IN TERREN
A-Sketch
2月19日より配信開始

<収録曲>
1. ほむらの果て
2. Is Everything All Right 
3. いつものこと

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