LAMP IN TERREN松本大が語る変化の理由「向き合うべきは、自分ではなく世界」

LAMP IN TERRENの松本大(Photo by Mitsuru Nishimura)



コンプレックスと表裏一体の自己表現

アルバムに描かれたイラストは松本によるもの。素朴だが、どこか不穏な空気を内包するその絵はレディオヘッドの『Amnesiac』や、『Hail to the Thief』あたりを連想させる。

「取り繕った絵も描こうと思えば描けるのですが、もっとパーソナルな作風に惹かれるというか。自分のライフスタイルがそのまま落とし込まれている作品が昔から好きなんですよね。例えばジャン=ミシェル・バスキアやパウル・クレーのような、ちょっと落書きっぽい絵に惹かれます。今はInstagramなどを活用しながらお気に入りのアーティストを探していますね」

音楽以外のアート表現にも強い関心を持つ松本。先行シングル「Enchanté」のジャケットに使用された写真は、彼が公園で遊んでいた子供に声をかけて撮影したものだ。



「写真は去年ハマって、京セラのコンパクトフィルムカメラCONTAX T2を持ち歩いていました。フィルムって、デジカメと違って撮れる枚数が決まっているじゃないですか。『この瞬間を絶対に収めよう』という意識がより強く働くんですよね。現像に出して、プリントされてくるまでの時間も好き。『ああ、こんな写真も撮ったな』とか『あ、こんな瞬間に自分は惹かれたんだ』みたいに、後から発見があるのも楽しいです」

例えば画集や写真集を制作したり個展を開いたり、自身が手がけた音楽以外の作品をまとめて発表する気持ちはないのだろうか。

「まだまだそんなレベルじゃないです(笑)。本気で写真を撮っている人たち、それを専門でやっている人たちには到底敵わないですからね。絵も写真も、言ってしまえば音楽も、自分は全て『感覚』でやっているんですよ。何か一つを極めるというよりは、自分の中から湧き出てくるものを最適な手段でアウトプットしたい。実は今度、芝居をやる予定なんですけど、それも一緒ですね」

誤解を恐れずに言えば、松本にとって音楽もドローイングも写真も芝居も、すべては自己表現のための「手段」なのだろう。

「器用貧乏だと思いますし、そこはコンプレックスと表裏一体なんです。だからこそ僕が最も大切にしているのは、『嘘をつかない』ということ。何をするにしても、常に自分に正直でありたい。とはいえ嘘をつかないでいると、人との衝突を生み出すこともあって。そんな時に、曲げない部分と受け止める部分を見極める心を持っておくことも大切です。自分がどうしても譲れないもの、守りたいものがあるのと同じように、相手にもそれがあるわけですから。こんなことばかり考えて生きているので、一定数の人たちに嫌われている自信はありますね」


Photo by Mituru Nishimura

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