LAMP IN TERREN松本大が語る変化の理由「向き合うべきは、自分ではなく世界」

LAMP IN TERRENの松本大(Photo by Mitsuru Nishimura)

取材現場にふらっと彼が姿を現した時、あまりの変貌ぶりに驚いてしまった。トレードマークだった長い前髪をバッサリと切り、全体的にブリーチをかけたナチュラルなショート・リーゼントが、生まれ持った精悍な顔立ちをより引き立てている。「どうしたんですか?」と尋ねると、「いや、ちょっとしたイメージチェンジです」と照れ臭そうに目を伏せた。

「自分の顔が、ずっとコンプレックスだったんですよ。色素が薄くて茶色い瞳と、黒髪のコントラストがすごく嫌で、ずっと目を隠すような髪型にしていました。バンドでも、“隠したい気持ちがあった”とか、“汚れていく自分が嫌いだった”みたいな、自分のコンプレックスを歌詞にしていることが多くて。“僕が僕を好きになった瞬間に、世界は変わるんだ”なんて歌っているくせに、自分を好きになるための行動なんて何もしてきていなかったことに気付いたんです。『よし、思いっきり髪を短くしてみよう』と(笑)。周囲の評判も今のところいい感じだし、自分のイメージみたいなものをぶち壊すのは気持ちよかったですね」

長崎県で結成された、4人組ロックバンドLAMP IN TERRENのヴォーカル&ギター松本大。ラテン語で「星」や「大地」を意味する「terra」を捩った造語であるバンド名には、「この世の微かな光」という意味が込められている。新型コロナウイルスによる感染が世界中で広がる中、昨年10月にリリースされた通算5枚目のアルバム『FRAGILE』には、そのバンド名のごとく暗闇の中で「光」を求めるような楽曲が並んでいた。



長らく続いた自粛期間中、多くの人々が口にしていた「自分自身と向き合う」という言葉に、松本は強い違和感を覚えていたという。本アルバム収録曲「EYE」の中でも、“見つめるべきは きっと僕じゃなくていい”“ただ自分であることも 忘れてしまえたら”とその思いを綴っている。

「向き合うべきは、自分ではなく『世界』だと思うんです。こんな世の中だからこそ誰かの言葉に感動したり、誰かの作品に感銘を受けたり。そういうことで人間は、より良い方向へと進んでいけるのではないか。他者に関心を向け、手を取り合って生きていくことが大事なんじゃないか、と思ったんですよね。『自分を愛せなければ、他人を愛せない』と言う人がいるけど、どうやって自分を愛したらいいかなんて分からないじゃないですか(笑)。それよりも、誰かを好きになれるからこそ、そんな自分を好きになれるんじゃないかな。誰かを好きになり、共に生きていきたいと思うことこそが、こんな世界で生きる理由になる気がするんですよね」

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE