ザ・ホワイト・ストライプスが挑んだ音楽の「再定義」とは? 2000年代ロック最大の発見を振り返る

メインストリームの流行とは無縁の普遍性

ホワイト・ストライプスは常に変化を続けながらも、その根底に流れる思想は驚くほど一貫している。それは本稿で何度も繰り返しているように、歴史や伝統に繋がりながら再定義すること。それを言葉にするのは簡単だが、キャリア10年弱、7枚のアルバムを通してここまで高いレベルで継続するのは並大抵のことではない。やはり彼らは同時期にブレイクしたロックンロールリバイバルのバンドたちと比べても、いや、2000年代を通して考えても、明らかに突出したバンドの一組であるのは間違いない。

では、もう10年以上前に解散したバンドであるホワイト・ストライプスを2021年に聴くことには、果たしてどれほどのアクチュアリティがあるのだろうか? ベースレスという特異なバンド編成は、ラップがポップの中心となり、低音重視となった2010年代半ば以降のポップミュージックの世界においては完全に異質。いわゆるJ・ディラ的な揺らぎをビートに持ち込むのではなく、リズムが走ったり、つんのめったりと安定しないからこそ演奏に緊張感とグルーヴが宿るという発想は、打ち込みやポストプロダクションでの加工が基本の現代においてはおおよそ考えられない。戦前のデルタブルーズやカントリーやフォークへの偏愛もほぼ例を見ないだろう。言ってしまえば、ホワイト・ストライプスは2021年において完全に「場違い」なバンドだ。

だが、考えてみてほしい。そもそもホワイト・ストライプスは、彼らが発見された2000年代初頭においても「場違い」なバンドだったのだ。メインストリームの流行とは完全に無縁だったのはもちろん、同世代のバンドたちと並べてもどこかはみ出していた。しかし、だからこそ彼らは時代を動かすことができた。いつだって歴史を動かすのは現状に適応しようとする者ではない。時代の空気に縛られている人々が思いも寄らなかった突拍子もないアイデアによってしか、歴史は前に進まない。2021年の今、再びホワイト・ストライプスが「場違い」なバンドになっているのなら、だからこそ聴く意義がある。そこにはまだ見ぬ未来へと繋がるヒントが隠されているかもしれないのだから。

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Photo by Pieter M van Hattem

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【応募方法】
1)Twitterで「@rollingstonejp」「@INTSonyMusicJP」「@thirdmanrecords」をフォロー。
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〆切:2021年2月21日(日)23時59分
※当選者には応募〆切後、「@INTSonyMusicJP」より後日DMでご案内の連絡をいたします。

ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
キャンペーン詳細ページ
https://www.sonymusic.co.jp/artist/thewhitestripes/info/526533


<INFORMATION>


『ザ・ホワイト・ストライプス・グレイテスト・ヒッツ』
ザ・ホワイト・ストライプス
ソニー・ミュージックジャパン インターナショナル
国内盤CD、アナログ盤発売中
デジタル配信中
https://TheWhiteStripes.lnk.to/GreatestHitsRS

【収録曲】※英語タイトル横の数字は収録オリジナル・アルバム
1. レッツ・シェイク・ハンド | Let‘s Shake Hands ※1st AL『The White Stripes』収録(日本盤ボーナストラック)
2. ザ・ビッグ・スリー・キルド・マイ・ベイビー | The Big Three Killed My Baby ※1st収録
3. フェル・イン・ラヴ・ウィズ・ア・ガール | Fell In Love With A Girl  ※3rd AL『White Blood Cells』収録
4. ハロー・オペレーター | Hello Operator ※2nd AL『De Stijl』収録
5. アイム・スローリー・ターニング・イントゥ・ユー | I‘m Slowly Turning Into You   ※6th AL『Icky Thump』収録
6. ザ・ハーデスト・ボタン・トゥ・ボタン | The Hardest Button To Button ※4th AL『Elephant』収録
7. ザ・ナース | The Nurse ※5th AL『Get Behind Me Satan』収録
8. スクリュードライバー | Screwdriver ※1st収録
9. デッド・リーヴス・アンド・ザ・ダーティー・グラウンド | Dead Leaves And The Dirty Ground ※3rd収録
10. デス・レター  | Death Letter ※2nd収録
11. ウィ・アー・ゴーイング・トゥ・ビー・フレンズ  | We‘re Going To Be Friends ※3rd収録
12. ザ・ディナイアル・トゥイスト | The Denial Twist ※5th収録
13. アイ・ジャスト・ドント・ノウ・ホワット・トゥ・ドゥ・ウィズ・マイセルフ | I Just Don’t Know What To Do With Myself ※4th収録
14. アストロ | Astro ※1st収録
15. コンクエスト | Conquest ※6th収録
16. ジョリーン | Jolene ※3rd収録(日本盤ボーナストラック)
17. ホテル・ヨーバ | Hotel Yorba ※3rd収録
18. アップル・ブロッサム | Apple Blossom ※2nd収録
19. ブルー・オーキッド | Blue Orchid ※5th収録
20. ボール・アンド・ビスケット | Ball And Biscuit ※4th収録
21. アイ・フォート・ピラニア | I Fought Piranhas ※1st収録
22. アイ・シンク・スメル・ア・ラット | I Think I Smell A Rat ※3rd収録
23. イッキ―・サンプ | Icky Thump ※6th収録
24. マイ・ドアベル | My Doorbell ※5th収録
25. ユー・アー・プリティ・グッド・ルッキング (フォー・ア・ガール) | You‘re Pretty Good Looking (For A Girl) ※2nd収録
26. セヴン・ネイション・アーミー | Seven Nation Army ※4th収録

関連ウェブサイト
アーティスト オフィシャルサイト(英語)
https://www.whitestripes.com/
ソニー・ミュージック オフィシャルサイト(日本語)
http://www.sonymusic.co.jp/artist/thewhitestripes/
オフィシャルinstagram
https://www.instagram.com/thewhitestripes/
オフィシャルFacebook
https://www.facebook.com/thewhitestripes
オフィシャルYoutubeチャンネル
https://www.youtube.com/user/whitestripes
【「ボール・アンド・ビスケット」2003年10月22日東京・SHIBUYA-AX公演】
https://www.youtube.com/watch?v=yLTXdIpwMvk

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