ーエンターテイメントの真髄ってそういう部分ですよね。音楽性が大事なことももちろん、エンターテインメントの側面からもどう楽しんでもらうのかという意味で言えば、ウイカさんが今置かれてるポジションはそれを最大限活用して広げられると思うんです。ジャスティン・ティンバーレイクだって、アイドルからスタートして、ソロでアーティストデビューして、映画もバラエティにも出る。そうやって活動していくとエンターテインメントは面白くなっていくし、色々な分野の人がもっと行き来したら楽しくなりますよね。バラエティに出るようになって思ったんですけど、バラエティは刹那的だと思うんです。つまり、その2時間くらいの間、自分は面白いものを作るためだけに尽力するわけですよ。できたものに対して最大限の力を発揮するのも、私は楽しいんですけど、世間からすると消費されていくような感じもあるんじゃないかな。だんだん鮮度が落ちて、それに合わせて質も落ちたらもう完全に終わっていくような気がするんです。でも、アーティストは積み上がっていくもの、売れてる売れていないに関係なく、年輪のようにその人に刻まれていく。それが深ければ深いほど、音楽としての背景や感じ方も深まっていくんじゃないでしょうか。
ーなるほど。メジャーシーンじゃなくても、めちゃくちゃかっこいい音楽をする人。例えばクリトリック・リスが、ゴールデンタイムの音楽番組で酒相撲をする日は遠いかもしれないですけど(笑)。でも、スギムさんのかっこよさで私は何度も涙したことがあるし、メジャーで売れることだけじゃないものが、音楽にはいっぱいあることを知って。でも、マスの世界で売れてる第一線の旬な人たちのすごさも今は分かるし、結局どっちも素晴らしいんです。でも、特に音楽シーンは、その両方を体験できる人は一部の人間だろうと思ったので、自分のこれまでの経験を生かしたい。売れる売れないだけじゃないもの、ちゃんと年輪として刻まれていくものを大事にしようと、先輩方の背中を見て強く感じました。どんなに懐かしい曲でも、聴いた瞬間に思い出が蘇ったりとかして、それは色褪せないじゃないですか。バラエティみたいな刹那的なメディアだと、色褪せて懐かしいね、で終わっちゃうのが、音楽作品として残せるというのは、アーティストの強みだなと思うんです。自分もそういう風に、今の自分をタイムカプセルみたいに、その時々に凝縮して置いていきたい。それをBiS、BILLIE IDLE®と続いてきた自分の音楽遍歴の中に、ちゃんと残していきたいと思っています。
Edited by Kohei Ebina(SW)
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