UKを制したソウル新世代、セレステが語る「自分の声」を見つけるまでの過程

セレステ
(Photo by Elizaveta Porodina)


インスピレーションは毎日の生活

―アルバム・タイトルの『ノット・ユア・ミューズ』には、どんな想いが込められていますか?

セレステ:前述したことに繋がるかもしれませんが、今回のアルバムを作る過程で、もっと自分に自信が持てるようになって、自分の好きな方法で音楽を作っていいんだ、と思えるようになりました。去年私は、アーティストとミューズの関係により興味を持つようになったのですが、そこで認識したのは、ミューズとはある意味アイドルであるということ。つまり、自分自身のことは置いておいて、期待に応え、望まれたある形の音楽を作らなければならない。

でも私は、アルバムを作ることで自分の真の声を見つけようとしていたのです。プレッシャーを感じつつも、ここ3年で自分を理解し、自分自身が作りたいと思うサウンドを模索して、自分自身が言いたいことを表現するというポイントに辿りつきました。このタイトルは、私がここ数年で築き上げてきたそのスタンスを表しています。私は私。他の人からどうあるべきか操作されるのではなく、私自身であり続けるというスタンスです。

アルバム作りの初めの段階でタイトル・トラックの「ノット・ユア・ミューズ」を作り始めたのですが、コーラスを書いたあと、ヴァースを書くのがすごく大変だったこともあり、しばらく曲を放っておきました。その後、去年のロックダウンの時にやっと仕上げることができて。時間というプレッシャーがなかったのがよかったのだと感じています。



―アルバムの中から、あなたにとって最も挑戦的な試みになった曲はどれになりますか?

セレステ:一番チャレンジングだったのは、「ノット・ユア・ミューズ」。コーラスを書いたのは3年前なのですが、それから曲を仕上げるまでに2年半~3年もかかりました。曲が私の人生の中で落ち着くべき場所を見つけ、そこに収まるまでにすごく時間がかかったのです。この曲で表現したいことを、自分自身が十分に経験したと思える瞬間を待たないといけなかった。それが降りてきて初めて納得のいく表現ができるので。

プロデュースの面で一番大変だったのは「トゥナイト・トゥナイト」と「ステップ・ディス・フレーム」。その2曲はジャズとフォークにインスパイアされて書き始めた曲で、特に「トゥナイト・トゥナイト」に関しては、作曲中ずっとレナード・コーエンを聴いていました。昔の音楽とメインストリームのサウンドの交差のさせ方など、絶妙なバランスを追求するのがすごく大変で。ジャズやフォークのルーツに忠実でありながら、ポップ過ぎずモダンなサウンドにするという中間を見つけ出すのは、本当にチャレンジングでした。

―アルバムの制作にあたって、何かインスパイアされたものはありますか?

セレステ:私にとってのインスピレーションは毎日の生活。自分の周りで起こっていること、存在していることを取り入れようと意識しています。みんなが人生や日常で経験するようなことですね。人間関係だったり、仕事だったり。経験そのものについて書くよりも、そこから何を感じるか表現することを心がけています。自分の胸の内にあるものを曲にするように。

だから、それぞれの曲が異なるテーマを持っているんですよ。例えば、「ビラヴド」は遠くから称賛している誰かを恋しく思う気持ちについて。「テル・ミー・サムシング・アイ・ドント・ノウ」は、イギリスの政府から過小評価、もしくは見落とされているフィーリング、国への落胆がテーマになっています。こういったテーマは、みんなの人生に共通して存在しますよね? そういったインスピレーションの中から自分にとって一番意味のあるもの、重要なものをピックアップしているのです。

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