UKを制したソウル新世代、セレステが語る「自分の声」を見つけるまでの過程

セレステ
(Photo by Elizaveta Porodina)

テーマは「困難を乗り越えた先の希望」

―今回のアルバムは、どんな作品にしたいと考えていましたか? テーマやコンセプトを教えてください。

セレステ:アルバムには沢山の異なるテーマが詰まっています。その中でも鍵となっているのは、困難に直面することと、その中に存在する希望。逆境を乗り越えた後に得られる自信や、より強い人間になれることが、主なテーマです。

―そういったテーマは、初めから頭の中にあったことですか? それとも制作過程で自然と生まれたものですか?

セレステ:作りながら、自然とそうなりました。アルバムを作るのが初めてということもあって、最初はどうしたらよいのか自分自身でもよく分からなくて。でも、アルバムを作っていくうちに段々と自身がついてきました。私自身が制作中に感じていた自然なフィーリングと共に、アルバムの内容も変化していったと思います。



―サウンド面ではいかがでしょう? 「こんなサウンドにしたかった」など、テーマやコンセプトはありましたか?

セレステ:私にとって一番重要だったのは、バンドをスタジオに連れて行って、できるだけ沢山の楽器をライヴでレコーディングすることでした。あまりモダンな技術を使ってサウンドを操作したり、変えたりはしたくなかったので。50年代や60年代って、コンピューターがなかったから、捉えたいサウンドがあったらマイクを特定の場所に置いて、その前で楽器を演奏することでボリュームを調整していましたよね。今回のアルバムをできるだけ誠実なものにするために、そういった昔の技術を使ってレコーディングしたかったのです。

―アルバムの制作に当たって、最も配慮した点はどんなところですか?

セレステ:できあがった時に自分自身が誇りに思える作品を作る、というのが制作中ずっと頭の中にありました。それで、リスクもありましたが、音楽業界での経験が浅くても私自身が心からその才能を信用できるミュージシャンと一緒に演奏することを選んだのです。その結果、誇りに思える作品を作れましたし、このことが頭にあってよかったと思っています。

自分自身に挑戦することができて、プロデューサー、マネージャー、レーベルも私に課題を与え続けてくれて、それに応えようと頑張ることで成長できました。誰かが試練を与えて背中を押してくれなかったら、すっと同じレベルのまま進歩しなかったと思います。自分の良いところばかりを見てそれに固執していては、新しい表現法は永遠に見つからないですしね。

―『ノット・ユア・ミューズ』には基本的にゲスト・アーティストもなく、全曲のソングライティングに直接あなた自身が関わっていますね。

セレステ:このアルバムを制作し始めた頃の私は、今よりも全然知られていませんでした。ロンドンや他の国のフェスで出会った才能あるミュージシャンたちが頭に思い浮かんだのですが、彼らとは知り合った程度で、長年友情を築いてきたわけではなかったのです。どんなに才能があっても、まだ私がその人に対して十分にオープンになって、自分自身をさらけ出せるような関係を築けていたわけではなくて。

アーティストをスタジオに招いて、そのパフォーマンスがどんなに素晴らしかったとしても、私の作品である以上、私にとってしっくりくるパフォーマンスでなければ意味がないのです。今回のアルバムは、自分自身に誠実な作品を作ることが大切だったから特にそう。1stアルバムを一人で完成させたことで、私という存在を知ってもらえると思っていました。この作品によって、誰かとコラボレーションする機会が切り開かれたらいいなと思います。

―本作で多くの曲を共作しているジェイミー・ハートマン(ルイス・キャパルディ、バックストリート・ボーイズなどに携わってきたソングライター)とのケミストリーについては、どのように考えていますか?

セレステ:ジェイミーとの作業は大好き。スタジオに入る時、何について歌いたいか、何を話したいかを私自身がしっかり理解していなくても、彼が私の頭の中に何があるかを言葉にしてくれる時があるのです。ソングライターの多くがそんな直感を持っていると思いますが、ジェイミーは確実にそれを持っている。会話の扉を開いて、それを曲にしていくような感じで。

私の人生に何があったか、私の1日に何があったか、彼に説明しなくても、私が部屋に入ってきただけでそれを感じ取ることができるのです。そんな直感を持っている人とは、本当に作業がしやすいし、良い作品を一緒に作ることができる。本当に特別な才能ですよね。

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