THE BLUE HEARTSを読む、悲しみと孤独から始まった人の絆を歌ったバンド

1985 / THE BLUE HEARTS

続いてお聴きいただく曲は「1985」。インディーズ時代の1985年のクリスマスライブで自主制作として配布された曲です。ライブでは、そのクリスマスライブと、その後の1987年7月4日の日比谷野音公演でしか演奏されていませんでした。この曲は、1995年のベストアルバム『SUPER BEST』で初めてCD化されていました。1985年は彼らが離陸した年です。当時の日本は、彼らの目にこんな風に写っていたと聴くこともできます。最後の3行の歌詞、「僕たちを縛りつけて ひとりぼっちにさせようとした 全ての大人たちに感謝します 1985年日本代表ブルーハーツ」、この部分は歌詞にも記載されていませんでした。

なぜこの曲を流したのかというと、「ザ・ブルーハーツ: ドブネズミの伝説」の第一章は「1985」という始まり方なんですね。1985というのは、年号の意味もありますし、この曲のタイトルという二つの意味があります。どんな風にこの章が始まっているのかというと、1985年12月24日、つまり彼らのクリスマスライブが行われた場所は東京都の中野区にある、西武新宿線の都立家政駅にあったライブハウス「都立家政スーパーロフト」。そこで行われたクリスマスライブで配布されたシートが「1985」なんです。著者の陣野さんは、当時そこの近くに住んでいたんですけど、そのライブを知らなかったと後悔している。客観的な状況と自分の生活と重なる瞬間も面白い本でした。

そして、改めて「都立家政スーパーロフト」があった場所を訪ねるということから本は始まります。1985年、THE BLUE HEARTSがどのように結成されたのかという話も綴られているんですね。ファンの方はご存知かもしれませんが、ヒロトさんは当時東京の笹塚にある倒産した工場に住んでいた。工場の持ち主に「ここは放っといたらネズミやゴキブリが出て大変だから無料でもいいので住んでくれ」と言われて、そこに住んでいたそうです。そして、その工場跡にはドブネズミがいた。ということで「リンダリンダ」に出てくるドブネズミは、彼らの周辺の出来事なんじゃないか? と、この本では書いている。なぜドブネズミを美しいと思ったのか? ということも推理されていくという本です。

Rolling Stone Japan 編集部

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