外出自粛でギターを買う人が急増 コロナ特需で楽器の小売が好調

Courtesy of Reverb

2020年、オンラインでの楽器の販売数が劇的に飛躍した。「いまでは、1日1000本のギターを売っています」と、初めて年間売上が10億ドル(約1050億円)超を達成した北米楽器通販大手SweetwaterのCEOは話す。

ある人にとってギターはトイレットペーパーと同じくらい欠かせないものだ。新型コロナのパンデミックが数多くの事業に致命的な打撃を与えたり、壊したりと世界経済に大混乱をもたらすなか、Amazonやプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)といった米国企業は開いた口がふさがらないほど見事な会計報告を発表した。そして予期せぬ事態の展開により、どうやら大手楽器小売チェーンにも同じようなことが言えそうだ。

本誌のインタビューで北米楽器小売大手のSweetwater、Guitar Center、Reverbは、オンライン売り上げという点では素晴らしい1年だったと述べた。2020年、オンライン販売のみのSweetwaterは42年という会社の歴史において初めて10億ドル(約1050億円)を超える売上を記録した。それだけでなく、2020年の取引人数は150万人以上と、2019年の100万人から増加した。同社のCEOを務めるチャック・スラック氏は、いままでの年は通常で1日1万5000件ないし2万件の注文をこなしていたが、昨年と比べて2020年は40パーセントアップという結果になったと話す。それに加えて「ブラックフライデー・セールが定着した」ことによって1日の注文件数は2万2000件ないし2万4000件、ピーク時でなんと3万件にまでアップしたと言う。

世界最大のハンドメイドマーケットプレイスを運営する米Etsyの子会社であるReverbは、Etsyとよく似た構造のオンライン販売限定のマーケットプレイスを通じて楽器販売を行っている。第4四半期の流通取引総額(GMS)に関するデータはまだ公表していないものの、同社CEOのデヴィッド・マンデルブロ氏が本誌に述べたところによると、Reverbは2020年の第2四半期に四半期のGMSとしてはもっとも高い数値を叩き出した。それだけでなく第3四半期の数値は、前年の同時期と比べて30パーセント以上の伸びを見せたのだ。

3社のなかで唯一実店舗を展開するGuitar Centerの売り上げも同じように上昇した——債務整理のために米連邦破産法11条の適用を申請したにもかかわらずだ。Guitar Centerは正確な数値を公表していないものの、チーフマーケティング&コミュニケーションオフィサーのジェニン・デイヴィス・ダダリオ氏は、同社のオンラインビジネスが「より多くの消費者がサイトを頻繁に訪れることによって急成長し、2019年と比べてほとんどの部門の売り上げが伸びた」と話す。Guitar Centerによると、2019年と比較した際、2020年のオンライン売り上げは2倍以上伸びた。

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Translated by Shoko Natori

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