ポール・マッカートニーのソロ名曲ベスト40選

36位「Temporary Secretary」
収録アルバム『McCartney II』(1980年)

テープレコーダーによるフリーフォームのインプロヴィゼーションを駆使したアルバム『McCartney II』に収録された、妙にキャッチーなエレクトロポップ曲。一時雇用の職を求める少し変わった男について歌っている。「実験的な試みだったんだ」と、後にマッカートニーは語っている。「当時は、自分が何か画期的なことをしているなんて意識はなかった」




35位「I’ve Had Enough」(邦題:別れの時)
収録アルバム『London Town』(1978年)

超軽快な「With a Little Luck」に続くウイングス後期の作品で、強い口調の歌詞にマッチしたギターが印象的だ。辛辣な言葉をシャウトするマッカートニーの歌声を聴くと、後にコラボレーターとなるエルヴィス・コステロが既に念頭にあったようにも思える。「I’ve Had Enough」は、米国ではどうにかトップ40に入ったが、英国でのセールスは不調だった。「いつも上手く行くとは限らないさ」とマッカートニーは肩をすくめた。




34位「Early Days」
収録アルバム『New』(2013年)

ビートルズでは実際に誰がどの曲を書いたのか、という長年の論争に関して、マッカートニーの中では決着が付いていると誰もが思っているかもしれない。ところが大間違いだ。「僕の中のメモリーチップには、2人が一つの部屋に座って“I Saw Her Standing There”や“One After 909”を一緒に作っている姿がはっきりと記憶されている」とマッカートニーは、2014年のローリングストーン誌のインタビューで語っている。「ジョンと僕が一緒に曲を作り、一緒に演奏し、一緒にレコーディングしたことは、事細かに鮮明に覚えている。決して消え去るものではない」と彼は言う。アルバム『New』(2013年)のハイライトと言える「Early Days」は、ビートルズの歴史をねじ曲げようとするリビジョニストへのフラストレーションが根底にある、と彼は説明した。「奴らが僕から奪おうとしてもできない。僕はそんな時代を乗り越えてきた。苦しみを笑いに変えねばならないことが何度もあった。気が狂いそうになるのを止めるために」と歌う。そんな状況を、今世紀に彼が作った楽曲の中で最も感動的で、ほろ苦く甘いフォークバラードに仕上げるところが、ポール・マッカートニーらしい。恨み節などではなく、親友の思い出に対する愛に溢れている。




33位「The Back Seat of My Car」(邦題:バック・シート)
収録アルバム『Ram』(1971年)

ソロとしての初期のヒット作と同様、「The Back Seat of My Car」もまたビートルズの楽曲になっていた可能性がある。マッカートニーは1969年に本作の初期のバージョンを披露している。それから2年後、オーケストラをフィーチャーした壮大なバージョンがアルバム『Ram』の最後を飾った。「ティーンエイジャーの曲だ」とマッカートニーは2001年に語っている。「恋人同士の2人が未知の世界へと踏み出そうとしている。僕はいつでも弱い者の味方だ」


Translated by Smokva Tokyo

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