リル・ウェイン×リル・ベイビー対談 サウスがヒップホップを支配する理由

リル・ウェインとリル・ベイビー

ローリングストーン誌の企画「Musicians on Musicians」で、いまや全米最重要ラッパーとなったリル・ベイビーと、彼のヒーローであるリル・ウェインの対談が実現。それぞれの生い立ちと影響源、ラッパーとしての美学などを語り合った。

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ある金曜日の夜おそく、リル・ウェインは自分が所有するマイアミのスタジオでジョイントを灯し、「ミスター・カーター」という名前でZoomにログインした。「どうしてる、ベイビー?」と彼。「家族はどう?」「いい感じだよ」とリル・ベイビーが答え、ロサンゼルスから微笑む。「それはよかった」とウェインも答える。

ウェインは新しい音楽をたくさん聴くほうではない――「自分の曲ばっかり聴いてる」と彼は言った――が、リル・ベイビーのことは大好きだ。25歳、アトランタ出身のこのラッパーは、ほんの2、3年ほどで、服役中の身からラップ界で最も求められるひとりへと成長した。ウェインが注目するのはベイビーのリリックだ。彼のリリックは政治的にコンシャスな意見表面をおふざけの言葉遊びと組み合わせて(“I done made a quarter this week in huaraches/Top model with me, trying to feed me hibachi”)、しかもラップ界で最もなめらかなケイデンスにのせて聞かせてくれる。「彼の作品には最大限のリスペクトを捧げているよ」とウェイン。言及しているのはおそらくベイビーによるプロテスト・アンセム、「ザ・ビガー・ピクチュア」だ。(このインタビューが行われたのは、ウェインが大統領選の直前にトランプ大統領と一緒に写真を撮った、あの議論を呼んだ行動より前に行われた)



ウェインがミックステープ『ノー・シーリングス』シリーズや、マルチプラチナを記録した『ザ・カーターⅢ』でラップのあり方をつくりかえていたころ、ベイビーは10代前半だった。ベイビーは、ウェインが巨大なラジオ・ヒットを飛ばしつつ、大胆なクリエイティヴ上の選択を行ってきた(それには彼か2010年に発表したロックアルバム、『ザ・リバース』も含まれる)バランス感覚が好きなのだという。「いつだってウェインは自分のやりたいことをやってるんだって思えた」とベイビー。「それができたのは、数字が伴っていたからだ。それがいま俺がやってることにつながっている。自分がやりたいことはなんでもやる、数字を出せる限りは」

Translated by imdkm

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