リル・ウェイン×リル・ベイビー対談 サウスがヒップホップを支配する理由

ニューオーリンズとアトランタで育った影響

ベイビー:あなたを聴いたのは本当に若いときだった。思い出せないくらい昔で、たぶん小学生とか中学生くらいのとき。ぜんぜん思い出せないんだけれど、最初にリル・ウェインの曲を耳にしたときには、なんでかすでに一言一言ぜんぶ覚えてた。

ウェイン:それはうれしい。「ドリップ・トゥー・ハード」のビデオを見たときのことを覚えてるよ。もちろん、どれもこれも似たように聞こえる音楽が波のようにやってくるなかの一曲だったわけだけど。「これ誰だ?」って思った。レジーナ(ウェインの娘)は「だからずっと言ってるじゃん」って感じで。それがはっきりわかって以来、ずっとファンだ。




ーウェイン、あなたはニューオーリンズの出身で、ベイビーはアトランタ出身ですよね。それぞれの都市から受けた影響は?

ベイビー:影響はおおいに受けてるよ。だってこの街こそが俺のスワッグだし、俺の味だし、俺のフロウだから。喋り方、歩き方もまさしくそうだ。どこの出身かっていうのが人間の9割を決めるくらいに思ってる。

ウェイン:ニューオーリンズこそ、自分がラッパーになった理由なんだ。単純明快。うちの長男はいま学校の宿題をやってるが、今週はこんなことを聴いてきた。「ねえ、父さんについての課題をしなくちゃいけないんだ。いくつか質問してもいい? どんなラッパーに影響を受けたの?」答えはこう。「ごめん。無理だ。先生たちや友達もみんな、自分たちが何者なのかわかることはないだろう」

大人になるまでは頻繁にブロック・パーティが開かれてたものだ。まるでほとんどコンサートみたいなもので、ただしマイクはいつでもオープンだった。ブロック・パーティにあらわれては盛り上げる馴染みの連中がいると、そいつらはスーパースターだった。つまり、彼らは車も宝石もなんにも持ってなかった。でもステージにのってはDJをロックさせるんだよ。俺はそれを見てた。彼がはずんでるのを見て、とにかくあれになりたいと思った。それである日、マウンテンデューを一口飲んで気合を入れた。まだ11歳のときだ。DJのほうに近づいていって、こうだ。「マイク、貸して」

ゲームに加わりだした頃は、(サウスっていうのは)冷ややかな扱いを受けていたもんだよ。「『ケツを振れ!』みたいな曲ひっさげてガキがなんかやってるぞ」みたいな。いや、俺たちは大事な話をしてるのに! ラジオから曲が聞こえてきた曲が気になったら、マック(・メイン)に聞くんだ。「あれは誰だ?」って。すると彼は教えてくれるんだけど、俺は、「いいや、ニューヨークの奴らなわけがないでしょ」って感じで。でもわかるだろ、これは今じゃお世辞になる。

Translated by imdkm

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