亡くなる直前にギターの音入れ
―演奏は生前に?
はい。たしか、亡くなる10日とか1週間前くらいだったんですよね。「ギター絶対弾いてくださいね」って言ったら、弾きに来てくれて。僕はその時お会いできなかったんですけど……。
-じゃあ、これが本当に最期のプレイだったんですね。寂しいけど、最期にこういう形で音を残せたというのは……。
そうですね。ギターの音を聴いていると、すごく繊細で、それでいてダイナミックで。フレーズも滑らかで、忍び寄るように寄り添ったり駆け抜けるように走ったりする、本当にすごいギタリストですよね。普段は朗らかで、周りを和ませてくれてすごく優しい語り口調なんですよ、YOUさんって。何が嫌だとかも絶対に言わないし、ギスギスしているところや怒っているところを見たことがなかった。物静かで、いつも笑顔で。僕、死んでしまったっていうのが未だに理解できていないんです。これはミュージシャンの特権でもあるけど、この音が遺っていて、YOUさんが演奏している映像も遺っているじゃないですか。現世に残された人間たちは、音を聴いたり映像を見たりすればいつでもYOUさんに会えるんですよね。僕の中でも、きっと永遠に歳をとらないでそのまま生きていくんだろうなと。そういう意味でもすごく貴重な、最後に形見というか、本当に素晴らしい楽曲をいただけたと思います。
―本当にその通りですね。あと、今回はINORANも「Sing To You」で楽曲提供をしていますが、これは隆一さんの方から?
はい。こういうアルバムを作ろうと思うんだけどINORANにも書いて欲しいって言ったら、"いいよ”って快く引き受けてくれました。
-LUNA SEAのメンバーの中でINORANにお願いしたのは?
他のメンバーでも全然良いんですけど、INORANって一番何にでもなれる人のような気がしていて。SUGIZOやJの色は、LUNA SEAに近いところがあると思うんですよ。SUGIZOはいろんなジャンルの音楽が好きで詳しかったりするけれども、やっぱり旋律やギターのアプローチは比較的LUNA SEAを踏襲しているというか。その点、INORANはいろんな形に変化しそうで、彼がこの仲間たちや先輩たちの中に入ってきたらどうなるのか、楽しみだったんです。で、やっぱり気怠いというか、艶っぽい大人の雰囲気を出していて。良いんですよね、この肩に力を入れない感じが。こういう曲があるとすごく救われます。