トランプ逆転を信じた、陰謀論「Qアノン」信者の落胆と困惑 

プラットフォームからの締め出し

バイデン大統領の就任式に対する頑ななQアノン支持者の反応は「正直なところ、多種多様です」と言うのは、調査報道サイトBellingcatで過激思想を研究するアリック・トーラー氏だ。「僕は大勢が一斉に否定するだろうと思っていました。『お前たちは分かってない、実際に起きているのは……』と。ですが、むしろ諦めや困惑でした。間違いなくQはこの先何年も存続するでしょうが、大勢がただ茫然としています。文字通り何年も夢見ていたこと(一斉逮捕、刑の執行、啓示)がなぜひとつも起きないんだろう、と」。このように反応が様々なのは、Qアノン・コミュニティではよくあることだ、と憎悪犯罪・過激思想研究センターのケヴィン・グリシャム副所長も言う。「一枚岩の集団とは言えません。いくつもの小グループから構成されていて、各々が核となる新年を各々に解釈しているんです」

ローリングストーン誌が以前報じたように、こうした落胆ぶりは大統領選挙日以来、Qコミュニティの内部でふつふつと沸き起こっていた。バイデン氏の勝利宣言以降、ベテラン支持者は現実の出来事とQの預言のつじつまを合わせるのに苦労していた。「計画を信じてはいるが、みんな確証が欲しいんだ」とは、行き場をなくしたあるユーザーの11月の投稿だ。ここ数カ月間は「Qアノンにとって重要なターニングポイント」だった、と言うのは『Q Anon Anonymous』というPodcastの共同ホストを務めるトラヴィス・ヴュー氏。彼はローリングストーン誌にこう語った。「ソーシャルメディアの禁止措置とドナルド・トランプ氏の敗北が重なったことで、彼らは今後がらりと進化せざるを得なくなるでしょう」

プラットフォームからの締め出しが、そうした進化に重要な役割を果たしている。コミュニティ規約違反でFacebookやTwitterといった主要プラットフォームや、議事堂暴動計画に一役買ったと批判され、先週閉鎖されたParlerのようなアプリからも追放されたQアノン信者は、他の過激派がたむろするTelegramなどメッセージアプリのスレッドに群がるようになった。Qアノンの預言が実現しなかったことに失望した人々が、明らかに暴力的なグループに引き寄せられる危険は明白だ、とグリシャム氏は言う。筋金入りのQアノン信者が次第に過激な連中の言い回しに触れ、そこへ悲痛や落胆が重なれば、「なんらかの非常に危険な状況が起こる可能性もあります」と同氏は言う。

Translated by Akiko Kato

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