中島みゆきのセレクションアルバムが持つ意味、瀬尾一三と探る



田家:FM COCOLO「J-POP LEGEND FORUM」、中島みゆき2021Part3。先月発売になったセレクションアルバム『ここにいるよ』の全曲紹介。プロデューサー、アレンジャー、音楽監督の瀬尾一三さんをゲストにお送りしました。今週はDisc2寄り添い盤の前半をお送りしました。流れているのは、この番組の後テーマ、竹内まりやさんの「静かな伝説(レジェンド)」です。

今週はDisc2寄り添い盤の前半をお聴きいただきました。改めて思ったことがありまして、今は音楽の聴き方としてはサブスクリプション、聴き放題として聴かれることが多いですよね。どんな曲でも単体でいくらでも聴くことができるわけですが、この番組はアルバム主義であります。アルバムというのは、この曲で始まって、この曲の次にこの曲、最後にこの曲という一連の流れにストーリーがあったりするわけです。アレンジャーの方は、全体の流れを演出するプロでもある。バラバラの曲ではなく、アルバムとして聴いてほしいということで今月も全曲をお届けしているわけです。

でも、みゆきさんにとって今回のアルバムにはもう一つ意味があるなと思いました。瀬尾さんのお話の中で、それぞれの曲がオリジナルアルバムの曲順に縛られているところがあった。「夜会」では、そこから解放して聴いてほしかった。そうやって一度アルバムから解放された曲が、セレクションアルバムとして一つのストーリー、意味を持った。これはオリジナルアルバムと違うもう一つのオリジナルアルバムとしてお聴きいただくと、それぞれの曲がどういう意味を持ったものなのかが改めてお分かりいただけるのではないだろうか。 そして、瀬尾さんからは、こんなに素晴らしい参考書があるんだろうかというお話を聞けております。来週は最終週、お楽しみにしてください。



<INFORMATION>

田家秀樹
1946年、千葉県船橋市生まれ。中央大法学部政治学科卒。1969年、タウン誌のはしりとなった「新宿プレイマップ」創刊編集者を皮切りに、「セイ!ヤング」などの放送作家、若者雑誌編集長を経て音楽評論家、ノンフィクション作家、放送作家、音楽番組パーソリナリテイとして活躍中。
https://takehideki.jimdo.com
https://takehideki.exblog.jp

Rolling Stone Japan 編集部

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