米議会乱入、バッファロー男の正体と無視できない陰謀論の影響

1月6日、ワシントンDCアメリカ国会議事堂に侵入するトランプ支持者たち。中央がジェイク・アンジェリ(Photo by Saul Loeb/AFP/Getty Images)



Qアノン関連のツイートをリツイートするトランプ大統領

2017年末に現れた極右過激派の陰謀「ピザゲート」の残滓から生まれたQアノンは、誕生以来驚くべき進化を遂げ、ついには陰謀論ではなく、新たな宗教の枠組みでとらえられるまでになった。その理由には、パンデミックで人々が在宅を余儀なくされたこと、ソーシャルメディア・プラットフォームがご都合主義を掲げて偽情報の削除を拒んでいること、先ごろ陰謀論者に早々に乗っ取られた反児童売春ハッシュタグ「#SaveTheChildren」運動という形でQアノンがメインストリーム化したことなどが挙げられる。それに加え、大統領自身にも原因があるといえよう。Qアノン派のインフルエンサーの投稿をSNSでリツイートして拡散したり、Qアノン支持を公言して憚らないマージョリー・テイラー・グリーン氏のような議員候補者を支援するなど、大統領は陰謀論の糾弾を幾度となく拒んできたのだ。

選挙から数日後、選挙結果が次第にトランプ劣勢に傾いてゆくにつれ、「トランプ大統領が再選して左派の悪を打ちのめす」と信じていたQアノン支持者らもようやく夢から覚めて陰謀論に背を向けるだろう、と多くの人々が予想した。だが見たところ、全く正反対のことが起きた。この選挙は違法だという真っ赤な嘘を大統領本人が再三にわたって、かたくなに推し進めてきた影響も少なくない。極右過激派は闇に閉ざされた社会の悪に光を照らすと自称するQアノン支持者らの言葉を借りて、現実のまばゆい光にさらされるや、光に向かっていくのではなくさらに闇の奥へと逃げて行った。トランプ大統領本人も少なからず、彼らを逃走に駆り立てた一端を担っている。

今日の出来事を受けて、複数の関係者に非難が向けられることになるだろう。月曜にリーダーが逮捕されたファシズム系の過激結社グループProud Boys。ソーシャルメディアで大勢が正しく論じているように、Black Lives Matterの抗議参加者に対しては速やかに群衆対策を講じたであろう国会議事堂の警察。そしてもちろん、暴動直後に生ぬるい反応を示すのが関の山だった大統領本人。「家に帰りたまえ。君たちのことは愛している。君たちは特別な存在だ。実際に何が起きるかわかっただろう、向こうがどんなに酷い、あくどい仕打ちをしてくるか。君たちの気持ちはよくわかる。だが家に帰りたまえ。平穏無事に家に帰るんだ」と大統領は暴徒に語りかけた。家にトイレットペーパーを投げ込むのはやめてくれ、と優しく諭す郊外の父親のように。

Translated by Akiko Kato

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