SUGIZOが語る、縄文文明から日本人が学ぶべきこと

ガンダムの物語と難民の子どもたち

-BiSHのアイナ・ジ・エンドさんとはどういったつながりで?

1年半くらい前に『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』のエンディングテーマで女性シンガーを探している時に、事務所同士の関係が近いこともあり、紹介してもらったんです。BiSHの曲もそうですけど、ソロの歌声が素晴らしいと思ったんです。彼女は本当に純粋な表現者で、インテリジェンスの塊のような、哲学や心理学に長けたMORRIEさんが書いた詞を純粋無垢な少女のような子が歌うっていうことがすごく面白いなと思ったんです。彼女は全てを本能で分かっている感覚なんです。赤子や胎児って、全智全能だと思うんですよ。生まれたばかりの赤ちゃんってすべてを知っている顔をしているんです。で、だんだん記憶が無くなっていく。そのすべてを知っている顔をしているんです、アイナちゃんは。そういうふうに僕は感じました。

-歌も素晴らしいですよね。上手いだけじゃなく表現力が豊かです。

本当に天才なんですよね。アイナちゃんは自分でそれをよく分かっていなかったみたいだけど。

-miwaさんの透明感のある声もこのアルバムの中で大きな役割を果たしていると感じました。

彼女は本当に実力がある子で、本人は全然意識していないんだけど、根にあるブラックミュージックのグルーヴが素晴らしい。ピッチもリズムもすごく良いですし。一般的には元気いっぱいな応援歌を歌う、天真爛漫な女の子ってイメージかもしれないけど、すごく実力派です。この話を持って行った時、本人も彼女のチームも、今までの元気いっぱいな少女的イメージからどうすれば大人のアーティストに進化していけるかっていう過渡期にあったんです。それで、今までのmiwaちゃんとはイメージが違う、哲学的で宇宙的な、深淵をイメージするような曲をやろうということになったんです。なので、敢えて詞はmiwaちゃんに書いてもらいました。

―そうだったんですね。

ええ。ガンダム本当に多くの種の話がありますけど、その多くは子どもたちの話で、僕にとっては難民の子どもたちとすごく重なるんですね。紛争に巻き込まれ、孤児になって、自分の意思とは関係なく武器を持たざるを得なくなり、結局戦火に飛び込んでいく。それが中東の子どもたちの状況とオーバーラップしてしまうんです。miwaちゃんにも中東の子どもたちの状況を学んでみて、という話をしました。miwaちゃんは、難民の子どもたちや戦火に巻き込まれる子どもたちの実情を学び、あらゆるインプットを惜しみなくしてくれて、この曲の詞が生まれました。そして、それが奇しくもコロナ禍の状況にぴったりマッチしてしまったんです。

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