ヒットを量産するTikTok、当事者たちが明かすサクセスストーリーの裏側

左からミーガン・ジー・スタリオン、ジェイソン・デルーロ、24kGoldn(Illustration by Nazario Graziano for Rolling Stone. Photographs in illustration by John Parra/Getty Images; Pier Marcho Tacca/Redferns; John Sciulli/Getty Images)


TikTokは音楽業界に欠かせない存在

TikTokの野望は、アメリカ政府からも目をつけられる結果となった。トランプ政権は同アプリと中国のつながりに懸念を示し、8月初頭にはTikTokの米国事業を売却するか、アメリカから撤退するかの判断を下すようByteDanceに迫った。同アプリの米国事業の買収先候補として真っ先にマイクロソフトが浮上したものの、トランプ政権が同アプリの禁止を命じた大統領令が出されてもなお、協議はいまも継続中だ。8月24日、TikTokは大統領令の差し止めを求めて米政府を提訴した。米金融機関ウェルズ・ファーゴのように、社内デバイスでTikTokの使用を制限する企業がある一方、Facebookが所有するInstagramは、TikTokのライバル商品であるショート動画投稿アプリReelsへの乗り換えを促すべく、クリエイターたちに金銭的なオファーを出していると言われている(編注:メイヤーCEOはトランプ政権からの圧力を受けて8月27日に辞任)。

訴状でTikTokは、2018年には1120万人だったアメリカのユーザー数が2020年には1億人を超え、およそ9倍になったことを明かした。グローバル規模で見ると、2018年に5400万人だったユーザー数は、2020年に6億8900万人までアップした。

TikTokの米国事業の所有権の行き先は8月時点で定まってないが、ひとつだけ確実に言えることがある。それは、グローバル級のヒットを生むにあたり、TikTokが音楽業界に欠かせない存在へと成長したことだ。「BENEEからトレヴァー・ダニエル、ミーガン・ジー・スタリオンからドージャ・キャットまで、昨今のヒット曲の共通点はTikTokです」と上述のアノテク氏は言う。


Data by TikTok

TikTokの音楽チームのメンバーは、多くのレーベルA&Rが毎朝のルーティンとして同アプリのチェックから業務を始めているにもかかわらず、ヒット・ビジネスの新たな中枢としてのTikTokの役割をしばしば軽視している。「音楽業界における私たちの役割は、コミュニティをつくり、アーティストにツールを提供することです」と、TikTokのミュージック・パートナーシップ/コンテンツ・オペレーション部門のトップを務めるコーリー・シェリダン氏は語る。

謙遜はさておき、TikTokの音楽チームは流行っている楽曲のプロモーションを積極的に行い、プッシュしたい未発掘のアーティストを求めてアプリ内をくまなくチェックし、ミュージシャンとTikTokerのコラボレーションを企画する。「こうした一口サイズの短い動画が、聴く人の耳にずっと残る効果を生み出しているんです」とシェリダン氏は言う。「BMW KENNYの『Wipe It Down』もずっと聴いているうちに、すっかり夢中になってしまうんですよ」(同楽曲は音楽チャート「Spotify Viral 50」で急上昇、BMW KENNYは数多くのレコード契約オファーを手に入れた)。


BMW KENNY「Wipe It Down」は、鏡を拭く動作中に「変身」するのがトレンド化

Translated by Shoko Natori

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